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『スパゲティコード・ラブ』丸山健志監督 13人のもがく若者を捉えた、緻密な構成とハイクオリティなビジュアル【Director’s Interview Vol.165】

『スパゲティコード・ラブ』丸山健志監督 13人のもがく若者を捉えた、緻密な構成とハイクオリティなビジュアル【Director’s Interview Vol.165】

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なぜ13人だったのか?



Q:先ほどおっしゃったように、この映画には人生にもがく人たちがたくさん出てきて、13人の群像劇となっています。この人数はどのように決まったのでしょうか。


丸山:最初は5人を軸にしてプロットを進めましたが、何だか5人の人間性だけを描いている映画になってしまい、日常を肯定するようなところまで至ってない印象がありました。自分の中でしっくりきてないところもあったので、それで実験的に一気に13人に増やしてみたんです。13人全員のキャラクターとプロットを自分で作って、それを元に脚本家の蛭田直美さんに脚本に起こしてもらいました。その後、蛭田さんがあげてきてくれた脚本を読むと結構しっくりきたんですよ。日常を肯定するという大テーマがそこに見えた気もして、「やりたかったことはこれだな」と確信することが出来ました。


また、「13人」というのが映画としてパワーになる気もするんです。「沢山人が出てる映画だよね」って、分かりやすさと認知度アップの面で狙った部分もあります。



『スパゲティコード・ラブ』©『スパゲティコード・ラブ』製作委員会


Q:13人も登場人物がいると、今お話しされた脚本や編集など、構成が大変かと思いますが、全体的なバランスはどのように取られたのでしょうか?


丸山:CMやMVでもよくやっているのですが、事前にシミュレーションして映像の構築をしておくんです。たとえば、「ヤバっ」というセリフが13人で連鎖してくシーンがあるのですが、そこではカメラは絶対フィックスで顔の位置を交互にして繋ごう、とカット割りの段階でしっかり決めています。そうやってブロックごとにカット割りをしていたので、そこまで大変ではなく、逆に楽しい時間でしたね。ちなみに編集はほぼ脚本通りにつなげています。多少違和感あるところは時間軸を入れ替えたりもしましたが、これも脚本の段階でしっかり構成できていたおかげですね。


Q:圧倒的にカッコいい画が13人のエピソード毎にランダムに展開されるので、正直いうと、観ていて最後まで集中力が続くのか、最初は少し不安な部分もありました。ですが、観続けていくうちにその繰り返しが心地よくなってきて、それぞれのエピソードの行方が気になり、キャラクターたちに愛着が湧いていった気がします。


丸山:そこは計算していて、全員のバランスは均等にしているんです。そこが群像劇の基本だと思ったので、そのルールは絶対的に守りました。前半部分は本音がパッと伝わるようなクセがあるモノローグで攻めて、彼らのキャラクターを観ている人に分からせる。そこから彼らの日常を描いていく。実はそこ以降は、音楽もほとんど使ってなくて、割と淡々と見せているんです。その後で各々のドラマチックな要素が動き、最後に救いがある。そういった映画の“波”を意識しています。




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