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『浅草キッド』劇団ひとり監督 憧れ続けたビートたけしと師匠の物語を自らの脚本で映画化【Director’s Interview Vol.168】

『浅草キッド』劇団ひとり監督 憧れ続けたビートたけしと師匠の物語を自らの脚本で映画化【Director’s Interview Vol.168】

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イメージと違うキャスティングの妙



Q:そんな深見千三郎さんを大泉洋さんが演じています。


ひとり:原作の「浅草キッド」が好きで、深見師匠のことをずっと頭の中で想像していたら、多分イメージは大泉洋さんじゃないですよね?


Q:そうですね。本作を観る前は、正直ちょっとイメージと違うなと思いました。


ひとり:やっぱり大泉さんのパブリックイメージって、ちょっとファニーな感じですから。でもたけしさんが初めて深見師匠を見た時はヤクザだと思ったっていうぐらい強面な人。僕も当然そういう人をキャスティングするべきだと、最初は思っていたんです。


でも僕ね、ハマりすぎるのは、あんまり好きじゃないんですよ。ちょっとズラしたくなる。麻里(鈴木保奈美)もそうなんです。麻里は芸人の妻なんですが、寄り添って夫を支える健気な感じがあまりにもハマると、ちょっと嫌なんです。だから鈴木保奈美さんにお会いした時に、「この人だったらステレオタイプじゃない、深見千三郎と対等にやりあえる、面白い麻里さんが描けるんじゃないか」と思ったんです。



Netflix映画『浅草キッド』12月9日(木)より全世界独占配信


大泉さんにお願いしたのは、『青天の霹靂』を見返していて、単純に「大泉さんが演じる深見千三郎を見たいなあ」と思ったからなんですよね。大泉洋さんは僕の中の深見さんとイメージが違いすぎたから、それまで頭の片隅にもなかったんです。でも、「大泉さんが演じたら、どうなるんだろう」って、なんかワクワクしてきて。合ってる合ってないじゃなくて、「この人がどういう深見千三郎を演じるのか見たい!」っていう一心ですよね。僕が見たいと思ったってことは、視聴者も見たいはずだろう、と。


でも…見事でしたね。僕の中での深見師匠は、ある種偶像に近くて、頭の中に勝手な理想像があったけど、その深見千三郎よりも大泉さんの方が良かったですね。



Netflix映画『浅草キッド』12月9日(木)より全世界独占配信


Q:柳楽優弥さんを、タケシ役にキャスティングした決め手は何だったんでしょうか?


ひとり:たけしさんって、芸人として面白いとか、クレバーだっていう部分を抜きに考えると、人としては孤独なんじゃないかって思うんです。それは、天才が故の孤独さで、どこまでいっても誰とも分かり合えない感じが、僕はしてしまうんです。柳楽さんも、そういう匂いがするんですよね。どこか孤独な感じがして。そんな佇まいがとにかくいいなと思って、お願いしました。


Q:柳楽さんが演じた、たけしさんの絶妙な再現感もすごいと思いました。あの役作りはどのようにされたのでしょうか?


ひとり:とにかく極力たけしさんに似せたいと思っていたので、松村邦洋さんにも指導してもらって、長い時は1日8時間ぐらい練習しました。朝から晩まで、たけしさんの過去のVTRを見ながら「元気なたけしさん」から、「ちょっと怖い時のたけしさん」まで、いろんなバージョンを練習しましたね。時には柳楽さんが他のドラマの撮影をしている現場まで僕が押しかけて、「この言い方はこうだ」とかやったりしました。かなり鬱陶しかったと思うんですけど(笑)。


そのお陰でモノマネとしてのクオリティは上がったんですけど、結局モノマネは止めてもらいました。声色とかを似せるのは止めてくれ、と。やっぱり単なるモノマネに見えてしまって、芝居が見えづらくなったんです。ただそこもさじ加減で、完全にモノマネをやらないわけではない。魂の部分で似ていることが一番だと思ったんです。





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