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『ちょっと思い出しただけ』松居大悟監督 コロナ禍を描くのは必然だった【Director’s Interview Vol.179】

『ちょっと思い出しただけ』松居大悟監督 コロナ禍を描くのは必然だった【Director’s Interview Vol.179】

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役者ってすごい



Q:伊藤沙莉さんと松居監督は今回初めてご一緒されたとのことですが、撮影はいかがでしたか。  


松居:伊藤さんはやっぱりすごかったですね。くるくる表情変わるし、思ったことすぐ言うし。車の中で喧嘩するシーンを長回しで撮ったのですが、車の牽引の関係で撮影していたのが夜中の3時くらい。だから準備している時は、伊藤さんは直前まで運転席で寝ていて、「じゃあ本番行きます。カメラ回りました。よーい」って言ったらパッと目が開いて、「スタート」って言ったらそのままセリフが出てくる。しかもそれで、セリフを一度も間違えない。この人めちゃくちゃすごいと思った。多分NGは無かったんじゃないかな。すごすぎて怖かったです(笑)。


Q:伊藤さんと池松さんの掛け合いはどうでしたか。


松居:池松君と伊藤さんって、普段出合わなそうな二人だなと。そういうイメージでキャスティングしたんです。だから、付き合っている感じが出なかったらどうしようと、実は少し心配していました。でも全くそんなことはなく、芝居を重ねれば重ねる程どんどん二人の時間が重なっていく。「この二人だからできたんだな」と思いましたね。



『ちょっと思い出しただけ』©2022『ちょっと思い出しただけ』製作委員会


Q:池松さんと伊藤さん二人の関係性がとても温かく、観ていると思わず二人を応援したくなります。お二人とはどのようなことを話されたのでしょうか?

 

松居:役自体についてはあまり話さなかったですね。池松くんとはその分脚本の隅々まで話しました。「このシーンを入れた意図は?」「このト書きはなぜ?」「このセリフはなんで?」と映画全体について細かく話し合いました。伊藤さんとは、「こういう恋愛をして、こんな喧嘩になったことがある」とか恋愛の話をしていて、それを台本に組み込んだりもしました。「照生(池松壮亮)ってこういう人だよね」とか「葉(伊藤沙莉)ってこういう人だよね」って話はあまりしてなくて、むしろ映画とか恋愛とか、そういう話ばかりしてた気がします。


Q:二人の会話がとてもナチュラルですが、セリフとアドリブはどのような配分だったのでしょうか?

 

松居:ほぼ全部脚本どおりです。でも行間を埋める芝居だったので、あの二人がまるで今思いついたように見える。すごく上手いと思いました。


Q:二人は年数によっての演じ分けもすごかったです。


松居:あれは本当にさすがだなと思いました。6年前のシーンを撮る時だけは「もうちょっと若く」とは言いましたが、それ以外のとこは完全に二人に任せていました。




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