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『余命10年』藤井道人監督 100年先も残る映像を撮るための「無茶」【Director’s Interview Vol.187】

『余命10年』藤井道人監督 100年先も残る映像を撮るための「無茶」【Director’s Interview Vol.187】

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受け取り、継いでいく“メジャーのバトン”



Q:『アバランチ』も挑戦尽くしでしたが、本作含めてクリエイティブの波が広がっていけばいいですよね。


藤井:そう思います。作品もそうだし、今回の記事を読んでくれた若いクリエイターが「藤井がそれやってるんだったら俺ならもっとできる」と思ってくれて、意識が変わっていくためにも必要な機会だと感じます。ただ、エゴイスティックにやっちゃいけない部分でもあるから、はき違えないようにして頑張っていかないといけない。


Q:それを全国のシネコンで一斉公開されるメジャー映画でやる、というのも意義深いです。


藤井:僕が20代のときには、メジャーの監督に対してあまり映画愛を感じられない尖った時代がありました(笑)。でもいまそのバトンを自分が受け継いだときに「みんながそういう意識でやってるわけじゃない」と感じました。


映画を観る人の中にもいろんな人がいて、映画を一種の娯楽として年に一回楽しむ方もいれば、芸術として楽しんでいる方もいる。映画の自由度を考えたときに、どのクオリティで届けるのか?というのが次の自分たちの仕事だと考えています。



『余命10年』©2022映画「余命10年」製作委員会


Q:今回、タイトルだけを見ると「余命10年」というかなりシリアスなものですが、お話を聞いたうえで立ち返ると、このタイトルが「余命ものに新風を吹かす」という一つの挑戦・宣言のようにも思えます。


藤井:実は、ご遺族にお会いする前にプロデューサーに「タイトルを変えられないか」と相談していたんです。『新聞記者』の次に『余命10年』だと四文字熟語つなぎになっちゃうし(笑)、やっぱり言葉が重いから。


でもご遺族にお会いして「なぜこのタイトルなんですか?」とお聞きした際に、小坂さんが自分で病気のことを調べて、自分でタイトルを付けたという背景を聞いて「ちゃんと背負わなくちゃいけない」という気持ちに変わりました。だから僕たちがこのタイトルにしたのではなく、茉莉がこのタイトルを付けた。そのことが映画を観終わった後に伝わればいいなと思います。




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