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『余命10年』藤井道人監督 100年先も残る映像を撮るための「無茶」【Director’s Interview Vol.187】

『余命10年』藤井道人監督 100年先も残る映像を撮るための「無茶」【Director’s Interview Vol.187】

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この時代に人が生きていた証を撮る



Q:藤井監督はこれまでにも配信・テレビ放送・映画といった様々なハコに挑戦してきましたね。


藤井:こと映画に関しては、100年先にハコがどういう風になっているか全くわからないから、「100年先も残る映像にしよう」という想いはありますね。僕は10年監督をやってきて、震災から令和までをどう描けるか、街をちゃんと撮る、時世をちゃんと映しとるというのはどの作品でも心掛けていることです。今回は恋愛作品だからそういうのはいりません、と言われたとしても、こっちは100年先を見据えて撮っている。


今回はコロナ禍での撮影で、緊急事態宣言下で撮ることがかなわなかった場所がいっぱいあって悔しさもそれだけあるのですが、あの時代に人が生きていた証をちゃんと残したいという想いで撮っていました。


2020年に撮影した渋谷のシーンで、当時の年明けカウントダウンを再現するのも楽しかったし、居酒屋のシーンでは梶原(リリー・フランキー)が野球好きという裏設定を生かすためだけに、当時の試合映像を借りてきました。ほぼ映っていないのですが(笑)、そういうのが僕たちにとってはすごく大事なんです。


今村もそうですが、美術の宮守由衣や助監督チームもみんな“自分事”として動いていて、逆に困っちゃったくらいです(笑)。今回はこれまでにない規模での公開ですし、みんなも気合が入っていたところもあるんでしょうね。



『余命10年』©2022映画「余命10年」製作委員会


Q:多くのお客さんに届くのが楽しみですね。


藤井:はい。余命映画だから、とあぐらをかかずにやった一年間がどういう結果になっても、自分にとっては一片の悔いなしという感じです。


観客の読解力のすごさはよく感じますし、自分事として受け止めてくれる力はまだまだ存在している。そこに時代が求める球をちゃんと投げなければと思います。クリエイターが自分たちの魂を売る必要はないけど、意固地になっているとどんどん乖離していく。A24の作品なんて、毎回時代の上に乗っているという感じというか、時代をけん引していますよね。僕自身、いつも刺激を受けています。




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監督:藤井道人

1986年生まれ。日本大学芸術学部映画学科卒業後、2010年に映像集団 「BABELLABEL」を設立。『オー!ファーザー』(14)で商業作品デビュー。以降『青の帰り道』(18)『ディアンドナイト』(19)『宇宙でいちばんあかるい屋根』(20)『ヤクザと家族 The Family』(21) Netflixドラマ「新聞記者」(22)など精力的に発表。第43回日本アカデミー賞で映画『新聞記者』が最優秀作品賞含む6部門受 賞、他にも映画賞を多数受賞。



取材・文:SYO

1987年生。東京学芸大学卒業後、映画雑誌編集プロダクション・映画情報サイト勤務を経て映画ライター/編集者に。インタビュー・レビュー・コラム・イベント出演・推薦コメント等、幅広く手がける。「CINEMORE」 「シネマカフェ」 「装苑」「FRIDAYデジタル」「CREA」「BRUTUS」等に寄稿。Twitter「syocinema





『余命10年』

2022年3月4日(金)公開

配給:ワーナー・ブラザース映画

©2022映画「余命10年」製作委員会

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