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『ムクウェゲ 「女性にとって世界最悪の場所」で闘う医師』立山芽以子監督 一人の医師を通して見る、コンゴの過酷な現実と我々のつながり【Director’s Interview Vol.188】

『ムクウェゲ 「女性にとって世界最悪の場所」で闘う医師』立山芽以子監督 一人の医師を通して見る、コンゴの過酷な現実と我々のつながり【Director’s Interview Vol.188】

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コンゴの取材で気づいたこと



Q:コンゴではレイプなどの犯罪が公正に処罰されない現実も描いています。コンゴは独立以降、紛争が続いていることもあり、法治国家として機能が整っていないのでしょうか。


立山:コンゴは犯罪が処罰されず教育も行き届いていないので、問題の悪循環が起きていると感じます。ムクウェゲ先生はよく「倫理感がない」とおっしゃいます。現地で聞いた話では、子どもたちがレイプの真似ごとをするそうです。レイプ犯罪が日常的に起こる環境に子どもの頃からさらされると、それを異常なことだと思わなくなってしまう。そういった環境で育った子どもたちが、今大人になってコンゴ社会の中心にいる。すると「世の中そういうものだよね」「刑務所なんか入ってもすぐ出てこられる」という感覚が広まると思います。


日本でも、もし皆が「それをやってもいいでしょ」って環境の中で育ったら、多分悪いことだとわからなくなってしまう。



『ムクウェゲ 「女性にとって世界最悪の場所」で闘う医師』© TBSテレビ


Q:コンゴでの取材で、特に印象に残っていることはありますか。


立山:困難を乗り越え、助け合って生き抜くために、ムクウェゲ先生と患者の関係が一方的ではないことです。先生が困っている人たちを一方的に助けるのではなく、先生もそれによって学びを得ている。実際に私も取材した女性たちに気づかされたり、励まされたりしました。


国際関係でも「先進国が一方的に遅れた地域を助けてあげる」という発想に陥りがちですが、お互いに学びや気づきがあるべきだと思います。




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