© ANNE FRANK FONDS BASEL, SWITZERLAND
『アンネ・フランクと旅する日記』アリ・フォルマン監督 映画を観た子供たちが動き出してくれたら…【Director’s Interview Vol.191】
映画を観た子供たちが動き出してくれたら…
Q:映画という大衆芸術(エンターテインメント)に社会問題を含めて提起することは、多くの無関心層に訴えるのには非常に有効な手段ではないかと思うのですが、その辺りのご意見があれば教えてください。
フォルマン:おっしゃる通りです。有効な手段だと思います。この映画の中では、キティーとペーターを格好良い活動家として描きました。彼らを見た子供たちが「自分にも何かできることがあるのではないか」「紛争地域の子供のために活動できることがあるのではないか」と動き出してくれたなら、私は役割を果たすことができたのだと思います。
『アンネ・フランクと旅する日記』© ANNE FRANK FONDS BASEL, SWITZERLAND
Q:最後の質問です。影響を受けた監督や作品について教えてください。
フォルマン:『イージー・ライダー』(69)や『レイジング・ブル』(80)など70年代前後のアメリカ映画や、ロシアの文化に影響を受けました。19世紀ロシアの演劇や、アンドレイ・タルコフスキー監督の作品は大好きです。
アニメ映画も大好きで、宮崎駿やジブリの作品から大きな影響を受けています。あとは『パプリカ』(06)や『PERFECT BLUE』(98)の今敏監督ですね。特に『パプリカ』は『コングレス未来学会議』(13)を作る時にとても参考にしました。あれだけの才能を持つ方が若くして亡くなったことは本当に残念ですね。
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脚本・監督・プロデューサー・声の出演:フォン・ヤリス士官役:アリ・フォルマン
1962年12月17日、イスラエル・ハイファ生まれ。テルアビブ大学映画学科の卒業制作として、湾岸戦争に関するドキュメンタリー「Comfortably Numb」(91)を共同製作・監督。イスラエル・アカデミー賞を受賞し、一躍脚光を浴びる。テレビ局チャンネル2に就職し、占領地域を取材したドキュメンタリー番組を手がける。1996年、劇場映画デビュー作となる『セイント・クララ』を共同監督し、再びイスラエル・アカデミー賞で7部門受賞、その年の最大のヒットを記録、ベルリン映画祭パノラマ部門で観客賞も獲得する。脚本を担当したTVシリーズ「Be Tipul」(09)は、「イン・トリートメント」というタイトルでHBOがリメイクしている。また同じくTVシリーズ「The Material that Love is made of」(04)では、初めてアニメーションを取り入れ、その手法をさらに発展させて、自身の従軍体験を描いた『戦場でワルツを』(08) を発表。アニメーション映画として、初めてアカデミー賞®<外国語映画賞>にノミネートされ、ゴールデングローブ賞に輝いた。スタニスワフ・レムのSF小説「泰平ヨンの未来学会議」を、4年かけて映画化した『コングレス未来学会議』(13)も大きな話題を呼んだ。
取材・文:香田史生
CINEMOREの編集部員兼ライター。映画のめざめは『グーニーズ』と『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』。最近のお気に入りは、黒澤明や小津安二郎など4Kデジタルリマスターのクラシック作品。
『アンネ・フランクと旅する日記』
3/11(金)TOHOシネマズ シャンテほか全国公開
配給・宣伝:ハピネットファントム・スタジオ
© ANNE FRANK FONDS BASEL, SWITZERLAND