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『カモン カモン』マイク・ミルズ監督を形作る“他者への愛情” 【Director’s Interview Vol.200】

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『カモン カモン』マイク・ミルズ監督を形作る“他者への愛情” 【Director’s Interview Vol.200】

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インタビューパートが挿入された理由



Q:『人生はビギナーズ』『20センチュリー・ウーマン』と『カモン カモン』の違いは、モデルが存命であること。「搾取にならないように心がけた」と話されている記事を拝読しました(Little White Liesのインタビューの中で「くまのプーさん」の作者A・A・ミルンと息子クリストファー・ロビンの関係を例に挙げている)。


ミルズ:はい。それぞれの作品を作っている時期によって僕自身も変わっているので、そういった変化も各作品には表れていますが、そこは気を付けた部分の一つです。自分の子どものホッパーは本作のきっかけではありますが、彼自身のプライバシーを極力侵害しないようにしました。過去の経験や思い出のうち、みんなにシェアできる内容を拾ってきてストーリーに含めていく形をとりつつ、父親を伯父にするなど実体験を少し改変していきました。


あとはやはり、子どもたちのインタビューですね。あの部分を入れたことで、広い定義での「子ども」というものを見せることができました。自分の子どもではなく、「現代を生きる若者たち」という風にテーマを広げたんです。また、ウディ・ノーマンに対して「(自分の子どもの)ホッパーのように」というようなリクエストは全く行っていません。ウディは僕よりもよっぽどジェシーという存在を深く理解しているので、僕が答えが欲しいときなどはよくウディと向き合って話し合いました。



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Q:『カモン カモン』はヴィム・ヴェンダース監督の『都会のアリス』(73)を参考にしたと伺いましたが、モノクロ映像という点では2019年の短編『I am easy to find』にも通じます(ザ・ナショナルのアルバム発売を記念し製作された短編。ザ・ナショナルのメンバーは『カモン カモン』の劇伴も手掛けている)。ミルズ監督にとっての、モノクロという表現への思いを教えて下さい。


ミルズ:すべてモノクロで作れるのであればそうしたい、というくらい好きな手法ですね。とても美しいですし、他とは違う表現ができる。芸術的な自由を得られるように思います。


『I Am Easy To Find』


『I Am Easy To Find』のときは、『カモン カモン』の練習のような形で撮りました。MVということもあって自分が完全にコントロールできたため、好きなように作れましたね。モノクロでもこんなに感情表現をできるんだ、と知ってほしかったんです。




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