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『マイスモールランド』北原栄治プロデューサー  大きな柱は若手を育てること【Director’s Interview Vol.207】

『マイスモールランド』北原栄治プロデューサー  大きな柱は若手を育てること【Director’s Interview Vol.207】

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“いい作品”であれば売れる



Q:企画を動かす事が決まってから、その後の取材〜脚本作りは2年近くかかったと聞きました。


北原:クルドの方のところに行って直接話を聞くことからスタートしました。そこから脚本を作り始めたのですが、まぁ時間はかかりましたね。


最初は、川和田が実際のクルドの方をキャスティングしたいと言っていて、その実現に動いたこともありました。ただそうなると、在留資格の無い方たちを働かせることになり、この作品がきっかけで不利益を被る可能性もある。それで役者にお願いすること変更にしました。そういったやりとりにも時間がかかりました。


Q:監督が取材しながら脚本を書かれているときは、企画プロデューサーとしてはどういった動きをされるのでしょうか。


北原:製作の座組みを作ります。AOI Pro.さん、バンダイさん、ギャガさんという座組みでご一緒させてもらうことが多いのですが、そこに最初にお声がけするのは僕なんです。企画の規模や想定している内容をお話させていただき、どうやって一緒に作っていくか相談します。



『マイスモールランド』©2022「マイスモールランド」製作委員会


Q:当初の企画がそのまま映画になったとのことですが、その座組み(製作委員会)からは内容に関して意見は無かったのでしょうか。


北原:勿論ご意見はいただきますが、元々このチームでは内容面で大きな変更を強いるようなことは基本的にありません。分福としてはこの企画で映画にしたいということでしかないので、内容に乗ってもらえない限りは進まないという考え方でやっています。


映画を作らせる、作らせていただくという、単純なお金をベースとした主従関係ではなく、チームみんなで作っていくという意識が強くあります。ご理解いただけるチームが身近にあって、継続的にサポートしていただけるのは本当にありがたいことです。


Q:プロデューサーには映画を売る、ヒットさせる役割もあると思いますが、マーケティング的な視点も入れたりするのでしょうか。


北原:僕は基本的に、いい作品であれば売れると思っています。実際はなかなか売れませんけどね(苦笑)。それは是枝を身近で見て来たこともありますし、劇場で興行する商業映画をやるときは商業性と作家性のミックスを大切にしています。


今回はオーディションを経て嵐莉菜さんと奥平大兼くんに出演をお願いしました。彼らのお芝居がもちろん素晴らしいから選んでいるわけですが、彼らに演じてもらうこと自体が、映画を観てもらえることにつながっている。主演は誰でもいいわけではないんです。脚本も常に「ちゃんと観てもらえる」を意識しながら考える。観てもらうからにはやっぱり楽しんで欲しいですしね。


実際のクルドの方を起用して、徹底的にリアルにやる方法もありましたが、それではドキュメンタリー映画と変わりません。ドキュメンタリー映画にはドキュメンタリー映画の面白さも強さもありますが、たくさんのお客さんたちに観てもらう、観てもらいたい商業映画であることが前提だからちゃんと出資もしていただける。それを担保するために、脚本が面白くなるよう意見も言いますし、キャスティングにも同じく助言する。それが僕の仕事ですね。




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