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『X エックス』タイ・ウェスト監督 伝統的ホラー映画の仮面をまとった野心作、そのテーマは「映画作りへの情熱」【Director’s Interview Vol.221】
登場人物は監督自身の姿
Q:随所にアート性が感じられる撮り方や編集がなされているのも印象的でした。そうした独自の世界観を構築するために、監督が撮影や演出で特にこだわったポイントはありますか?
ウェスト:私は映画作りそのものをとても大切に感じているので、映画作りの技術や情熱を観客に感じて欲しかったんです。もちろんカメラや照明にはこだわりますし、演技から衣装、特殊メイクなど、全て自分でプランニングして、自分なりのこだわりで進めます。そうした映画作りの裏側を、最近の観客はあまり感じていないのではないかと思い、そこに目を向けてほしかった。だから本作の中で主人公たちが映画を製作することで、私自身が現場でやっていることを観客に観てほしかったんです。映画がどうやって作られていくのかを知ってもらうことが大きなテーマでした。
そのテーマを意識して世界観を作っていったので、メイクアップや音楽など全てにこだわり「これが映画なんだ、これが映画作りなんだ」と観客に感じてもらえることを目指しました。
『X エックス』© 2022 OVER THE HILL PICTURES LLC ALL RIGHTS RESERVED.
Q:所々に俯瞰のショットが効果的に使われているのも印象的でした。特に主人公にワニが迫る俯瞰ショットは素晴らしいです。俯瞰のショットにこだわりがあったのでしょうか?
ウェスト:答えになっていないかもしれませんが、直感的に「とてもクールに見えるだろう」と思ってああいう撮り方にしただけなんです。私はいつも映像のイメージを頭の中で描いてスタッフに提案するんですが、あの時もワニがゆっくり泳いでいく俯瞰の映像が浮かんだんです。あまりホラーにはない撮り方かもしれませんが、あれがベストなショットになると感じて、あの撮り方になりました。あのシーンは意外と人気があって、「あのシーンが一番好きだ」といろいろな人に言われます。