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『X エックス』タイ・ウェスト監督 伝統的ホラー映画の仮面をまとった野心作、そのテーマは「映画作りへの情熱」【Director’s Interview Vol.221】
コロナ禍を乗り切った驚きのアイデア
Q:本作の舞台はアメリカのテキサスという設定ですが、実は全編ニュージーランドで撮られていると知り驚きました。ニュージーランドで撮影することになった理由と、テキサスの雰囲気を出すのにどんな工夫をされたのか教えてください。
ウェスト:最初はアメリカで撮る予定だったんです。でも2020年の春にコロナウイルスの大流行が起きてしまいました。この映画はどうしても夏に撮りたかったので、その年にアメリカで撮ることは不可能になりました。
製作会社のA24は、撮影を1年以上延期することには反対だったので、私が冗談半分に「じゃあ南半球で撮ろうか?」って提案したんです。季節が逆になるので、冬に夏のシーンが撮れますから。ただ、ニュージーランドでアメリカの雰囲気を出すのは無理だろうと思っていました。そこで実際調べてみたら、ある地域がテキサスに似ていることがわかったんです。それでニュージーランドで撮影することに決定しました。
『X エックス』© 2022 OVER THE HILL PICTURES LLC ALL RIGHTS RESERVED.
当時ニュージーランドはまだ感染者ゼロでしたし、実際に入国したらマスクなどの感染対策をせずに、それまで通りの方法で撮ることができました。また今回は、特殊効果をニュージーランドに拠点を置くWETAデジタル※に依頼したので、彼らの地元で撮影できることも大きなメリットでした。
※ピーター・ジャクソン監督が設立したVFX制作会社。『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズ(01〜03)などでアカデミー視覚効果賞を受賞。
ただ、テキサスに似ていると言ってもやはりニュージーランドなので、アメリカ風の納屋を建てたり、所々にアメリカっぽいテイストを散りばめて、できるだけテキサスに見せる努力をしています。そのお陰で作品を見た人たちは、テキサスで撮っていると思ってくれたようで、テキサスの住民でさえ「あれはテキサスだ」と信じている人が多いみたいです(笑)。
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監督・脚本・編集:タイ・ウェスト
1980年10月5日、アメリカ・デラウェア州ウィルミントン生まれ。ニューヨークのスクール・オブ・ビジュアル・アーツで映画製作を学ぶ。2005年に『The Roost』で長編映画監督デビュー。『The House of the Devil』(09)を監督し、メディアから「この10年で最も素晴らしいホラー映画の1本」と高く評価される。ホラー映画界のカリスマであるイーライ・ロスがプロデューサーを務めた『サクラメント 死の楽園』(13)がヴェネツィア国際映画祭でプレミア上映。主な監督作に『キャビン・フィーバー2』(09)、『インキーパーズ』(11)、『V/H/Sシンドローム』(12)、『ABC・オブ・デス』(12 *アンソロジー)、『サクラメント 死の楽園』(13)、『バレー・オブ・バイオレンス』(16)、などがある。俳優としても活躍する。
取材・文:稲垣哲也
TVディレクター。マンガや映画のクリエイターの妄執を描くドキュメンタリー企画の実現が個人的テーマ。過去に演出した番組には『劇画ゴッドファーザー マンガに革命を起こした男』(WOWOW)『たけし誕生 オイラの師匠と浅草』(NHK)『師弟物語~人生を変えた出会い~【田中将大×野村克也】』(NHK BSプレミアム)
『X エックス』
7月8日(金)TOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開
配給:ハピネットファントム・スタジオ
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