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『ボイリング・ポイント/沸騰』フィリップ・バランティーニ監督 ワンショット映画を成功させた経験と決断【Director’s Interview Vol.223】

© MMXX Ascendant Films Limited

『ボイリング・ポイント/沸騰』フィリップ・バランティーニ監督 ワンショット映画を成功させた経験と決断【Director’s Interview Vol.223】

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社会問題に気づかせるのが映画の役割



Q:この作品には、あなたのレストラン業界での経験が生かされているそうですね。


バランティーニ:はい。私は約15年間、おもにシェフとしてロンドンのあちこちのレストランで働いていました。皿洗いや野菜の皮むき、ウェイター、バーカウンターなども経験したので、そこで働く人々のリアルな姿を作品に入れようと思ったのです。たとえば本作には自傷行為を繰り返している従業員が出てきますが、彼の描写には私の特別な思いが宿っています。


Q:そうしたメンタルヘルスの問題は、短編の『Seconds Out』(19)でも描かれており、映画監督としてあなたがこだわるテーマなのでしょうか?


バランティーニ:そうですね。メンタルヘルスだけでなく、人種差別、同性愛嫌悪など日常的に起こっている社会問題に関心があります。ですからそうした要素を、今回も一夜だけのレストランの物語に入れ込みました。そうすることで映画を観た人が、身近な問題に気づき、自分なりの対処の方法を考える可能性があります。メンタルヘルスで苦しんでいる人に「大丈夫ですか?」と声をかけるかもしれません。映画というものは、それが適切に作られたとしたら、観た人と世界の状況をつなぐ重要なツールとなる。私はそのように信じています。



『ボイリング・ポイント/沸騰』© MMXX Ascendant Films Limited


Q:今回の経験から、再びワンショットの長編を撮る意欲は起きましたか? それとも、もう十分ですか?


バランティーニ:今のところ、その予定はありません。今は、もう十分です(笑)。しかし今後、たとえばスティーヴン・グレアムを迎える作品なら、再び挑戦したくなるかもしれません。ただ今回の経験によって、観客の目をスクリーンに集中させるワンショットの効果を強く認識しました。ですからこれからの私の作品では、長めのショットが多用される可能性はありますね。




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製作・監督・脚本:フィリップ・バランティーニ

1980年7月13日、イギリス・リバプール出身。96年から俳優としてのキャリアをスタートし、2000年にサッカードラマ‟Dream Team”(98-07)でデビュー。2010年代の後半から、監督と脚本に力を注ぎ始める。19年、若いボクサーのメンタルヘルスを描いた短編映画“Seconds Out”が幾つかの映画祭で賞を受賞。同年に、スティーヴン・グレアムを主演にワンショットで撮影された短編映画“Boiling Point”を発表、BIFAにノミネートされ長編映画化へとつながった。20年には初長編“Villain”を監督、10年刑務所にいた男が、娘との絆を再び取り戻そうとする切ない物語を描いた。21年には、マーティン・フリーマン主演のBBCドラマ“The Responder”の1エピソードを監督、4エピソードに出演している。



取材・文:斉藤博昭

1997年にフリーとなり、映画誌、劇場パンフレット、映画サイトなどさまざまな媒体に映画レビュー、インタビュー記事を寄稿。Yahoo!ニュースでコラムを随時更新中。





『ボイリング・ポイント/沸騰』

7/15(金)ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国公開

配給:セテラ・インターナショナル

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