©2021 SHOWBOX AND NORTHERN CROSS ALL RIGHTS RESERVED.
『女神の継承』バンジョン・ピサンタナクーン監督 鬼才ナ・ホンジンとのタッグで挑む”新しいホラー映画”【Director’s Interview Vol.224】
『哭声/コクソン』(16)で知られる韓国の鬼才ナ・ホンジンが、新たな祈祷師の物語をタイで描く。原案・プロデュースを務めた最新作『女神の継承』は、ある祈祷師の一族に降りかかる苦難と恐怖をフェイクドキュメンタリー形式で紡ぎ出した野心作だ。観客はありとあらゆる恐怖演出に打ちのめされながら、どんどん加速していく地獄への道のりを登場人物とともに体感することになる。
ナ・ホンジンの信頼を受けて監督に抜擢されたのは、ハリウッドでもリメイクされた『心霊写真』(04)のバンジョン・ピサンタナクーン。さまざまなジャンルの映画を手がけてきた監督にとって、本作は久々となる長編ホラー映画だ。プロジェクトの発端や製作の舞台裏、そしてホラーにカムバックした理由などをじっくりと聞いた。
Index
ナ・ホンジン監督との出会い
Q:今回のプロジェクトに参加したきっかけをお聞かせください。
バンジョン:最初にナ・ホンジンさんと会ったのは、5~6年前にバンコクで開催された映画のイベントでした。その3年後くらいに電話をもらい、この映画のプロットをいただいたんです。最初は韓国で撮るつもりだったそうですが、「まるごと変えてタイ映画にしたい」と。ご自身がプロデュースするので、私に監督をやってほしいというお話でした。ナ・ホンジンさんのような素晴らしい方から連絡をもらえるとは思っておらず、本当に嬉しかったですね。夢が叶ったような気分で、いただける企画はどんな作品でもやりたいと思いました。
『女神の継承』©2021 SHOWBOX AND NORTHERN CROSS ALL RIGHTS RESERVED.
Q:最初に読まれたナ・ホンジンさんのプロットはどんな内容でしたか?
バンジョン:プロット自体は完成した映画とほとんど変わっていません。映画の構造はナ・ホンジンさんによるオリジナルのアイデアと70%くらいが同じです。ただし当初は韓国が舞台で、韓国の文化が描かれていたので、それらをタイの文化に置き換える形でローカライズしました。
Q:プロットを読まれた第一印象はいかがでしたか?
バンジョン:すごく面白かったです。最初は韓国が舞台だったので、祈祷師の物語と聞いてもシャーマンや霊媒師のイメージがあまり湧かなかったのですが、いただいたプロットを読んだら、ドラマティックな物語で、きちんと怖かった。しかも実際にタイの祈祷師をリサーチしてみると、韓国の霊媒師と共通点があることもわかったんです。たとえば、霊媒師が世代交代する時に身体に現れる症状は韓国もタイもほとんど同じ。そういうこともあったので、これは韓国人とタイ人がともに楽しめるストーリーだと思いました。