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『女神の継承』バンジョン・ピサンタナクーン監督 鬼才ナ・ホンジンとのタッグで挑む”新しいホラー映画”【Director’s Interview Vol.224】

©2021 SHOWBOX AND NORTHERN CROSS ALL RIGHTS RESERVED.

『女神の継承』バンジョン・ピサンタナクーン監督 鬼才ナ・ホンジンとのタッグで挑む”新しいホラー映画”【Director’s Interview Vol.224】

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タイの文化を取り入れる



Q:「完成した映画はオリジナルと70%同じ」とおっしゃいましたが、監督が加えた30%のアレンジや独自のアイデアはどのようなものですか?


バンジョン:私が取り入れたのはタイの信仰文化です。舞台となるイーサン地方はタイの東北部にある、シャーマニズム(※)が盛んな地域。また劇中でも説明されるように、人間や動物、草木などすべてのものに精霊が宿るという精霊信仰(アニミズム)も普及しています。タイ社会で一般的に見られるこのような考え方を、象徴的な形で映画に組み込みました。


それから、映画のラストシーンで語られる内容も私独自のアイデアです。ナ・ホンジンさんに提案したら「面白いね」と言ってもらいました。もちろん二人のアイデアが融合したものではありますが、タイの物語として「霊とは何者なのか」を書きたいと思ったんです。


(※)シャーマニズム:神や死者と直接交流するシャーマンが、予言や託宣、医療などを行うことを中心とする信仰。



『女神の継承』©2021 SHOWBOX AND NORTHERN CROSS ALL RIGHTS RESERVED.


Q:自らタイの信仰や文化をリサーチされたそうですが、そのプロセスをお聞かせください。


バンジョン:リサーチにはあらゆる方法を使いました。相談役にテレビ番組のプロデューサーをお招きしたのですが、彼は祈祷師や霊媒師の番組を20年ほど作っていて、なんと千人以上の霊媒師に会ったことがあるんです。そこで、まずは誰に会いに行くべきなのかを教えてもらってから実際に足を運んでインタビューしました。脚本には本物の祈祷師、霊媒師の方々から聞いたことを活かしています。


Q:劇中では祈祷師が儀式を行う際、蝋燭を並べたり、生卵を割ったり、舞いを踊ったりします。実際の儀式が再現されたところもあるのでしょうか?


バンジョン:(劇中の儀式は)もちろん実際のものにインスパイアされています。ただし、祈祷師の踊りは実物に似せていますが、実在する要素は全体の30%くらい。たとえば悪い病気を祓うために生卵を身体になすりつける儀式などが現実に存在するので、そういうところからアイデアをもらいつつ、演出を加えることで膨らませていきました。リアルな儀式のように描きながらも、ビジュアル的に面白いものにしたかったんです。


Q:民家や廃墟といったロケーションの禍々しさも印象に残ります。撮影場所はどのように選ばれましたか?


バンジョン:ロケ地を決めるのは本当に苦労しました。クライマックスの舞台である紡績工場は特に決まるのが遅かったのですが、必死で探している中でたまたま発見した廃墟を使っているんです。映画の撮影に使われたのは初めてだということで、とても嬉しかったですね。外観も内部も同じビルで撮りましたが、儀式ができる広さが必要だったので、劇中でビルの5階という設定のシーンも実際は1階で撮影しています。ちなみに、最初に儀式が行われるシーンは厳かな雰囲気にする必要があり、山と洞窟で別々に撮った素材を組み合わせました。




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