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『プアン/友だちと呼ばせて』バズ・プーンピリヤ監督 映画作りは思い通りにならない。もっといいものに育っていく【Director’s Interview Vol.227】
縦横無尽のカメラワーク
Q:バズ監督のトレードマークとも言える、縦横無尽なカメラワークとリズム感あふれる編集が今回も炸裂します。そのルーツはどこにあるのでしょうか。
バズ:僕がハイで目立ちたがりだからかもしれません(笑)。10代の頃はハリウッド映画をたくさん観ていて、中でもクエンティン・タランティーノやデヴィッド・フィンチャーの作品などは特に好きでした。その影響は大きいですね。
Q:前回の『バッドジーニアス』では、カット割りやカメラワークを全て綿密に決めて撮影に臨んだのに対して、今回は現場で(手持ちカメラで)即興的に撮られているとのことですが、それでもちゃんとバズ監督の画になっていることに驚きました。実際の撮影はいかがでしたか?
バズ:今回は人間についての映画なので、フレームが役者の演技を拡大させるような働きも担ってきます。俳優さんにはアドリブでやってもらったところも多く、それに合わせてカメラの方も即興的についていく必要があった。そのため手持ちカメラがベストな選択となったんです。
『プアン/友だちと呼ばせて』©2021 Jet Tone Contents Inc. All Rights Reserved.
Q:ウォン・カーウァイを彷彿させるような画作りも印象的でした。その辺は意識されていたのでしょうか。
バズ:そうですね。ウォン・カーウァイは撮影にはまったく関わらなかったので、逆に彼へのトリビュートを撮影に反映したくなったんです。
Q:大仰なカメラワークは、場合によっては批評家や映画通からは敬遠される恐れもありますが、バズ監督の映画は賞にも輝きしっかりと評価もされています。その秘訣はどこにあると思いますか?
バズ:カメラワークやアングルを考えるときは、カッコ良さだけを考慮しているわけではありません。シーンの雰囲気やキャラクターの気持ちをどうすればより拡大させることができるか、それを考えて撮っています。そこに秘訣があるかもしれませんね。