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『プアン/友だちと呼ばせて』バズ・プーンピリヤ監督 映画作りは思い通りにならない。もっといいものに育っていく【Director’s Interview Vol.227】

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『プアン/友だちと呼ばせて』バズ・プーンピリヤ監督 映画作りは思い通りにならない。もっといいものに育っていく【Director’s Interview Vol.227】

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映画作りは大抵思い通りにならない



Q:バズ監督の映画の面白さはカメラワークにとどまらず、巧みなストーリーテリングにもあると思います。今回も時間軸を操った構成は見事でした。脚本や編集などストーリーを語る際に気を付けていることはありますか?


バズ:今回はコロナでロックダウンになってしまったので、編集にものすごく時間をかけました。脚本通りに編集してうまくいかなかった部分があったので、そこはエディターと一緒に修正しながら詰めていきました。編集作業はすごく大事だと思っています。



『プアン/友だちと呼ばせて』©2021 Jet Tone Contents Inc. All Rights Reserved.


Q:では脚本の段階からは、かなり変わっているんですね。


バズ:そうですね。かなり変えました。でもそのおかげで全体的には良くなりました。自分が予想しなかったことは脚本執筆時にも起こるし、撮影や編集中にも起こります。撮影しながら「ちょっと違うな…」と思っていても、編集で見るとそれが悪くないこともあるんです。映画というものはその作品の命があり、その命が自ら動きだしてくる。命の動きは、俳優の演技やロケーション、カメラワークなど色んなものから出てきます。編集段階でエディターが仮に入れた曲から出てくることだってあるんです。


映画作りは大変でありすごくエキサイティング。大抵の場合、思い通りのものにはならず違うものに育っていく。でもそれは、元々想定していたものより、もっといいものに育っているんです。


Q:タランティーノやフィンチャーが好きだと言われましたが、最後に好きな作品を教えてください。


バズ:マーティン・スコセッシの『グッドフェローズ』(90)です。この作品を観て映画監督になりたいと思いました。その後『レオン』(94)『セブン』(95)など90年代の素晴らしい映画たちをたくさん観て、自分の人生を映画作りに捧げようと確信しました。



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監督・脚本:バズ・プーンピリヤ

1981年、タイバンコク生まれ。シーナカリンウィロート大学の芸術学部で舞台演出を学び、修士号を取得。テレビ広告業界で働いた後、ニューヨークに渡り、プラット・インスティテュートでグラフィックデザインを学ぶ。2011年にタイに戻り、ミュージックビデオの監督を勤めた後、2012年に初の長編映画であるホラー・スリラー『COUNTDOWN』(未)を監督した。その後、2作目の長編映画『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』(17)がアジア全域で大ヒット。本作は第27回スパンナホン賞(タイのアカデミー賞)で12部門を受賞し、2017年のタイ映画で最高の興行収入を記録した。また、中国を含むアジア数カ国のタイ映画の興行収入記録を更新し、3,000万ドル以上を稼ぎ出し、その結果、国際市場においてタイ映画史上最も成功を収めた作品となった。これからの世界的な活躍がますます期待される俊英の

監督である。



取材・文: 香田史生

CINEMOREの編集部員兼ライター。映画のめざめは『グーニーズ』と『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』。最近のお気に入りは、黒澤明や小津安二郎など4Kデジタルリマスターのクラシック作品。




『プアン/友だちと呼ばせて』

8月5日(金)新宿武蔵野館、シネスイッチ銀座、渋谷シネクイントほか全国順次公開

配給:ギャガ

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