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『プアン/友だちと呼ばせて』バズ・プーンピリヤ監督 映画作りは思い通りにならない。もっといいものに育っていく【Director’s Interview Vol.227】
『バッドジーニアス 危険な天才たち』(17)は鮮烈だった。ケレン味溢れるカメラワーク、リズム感溢れるカッティング、そしてツイストするストーリー。ビジュアルとストーリーがバッチリ絡み合い、カタルシスの波を引き起こす。アジア各国でタイ映画史上歴代興収第1位を奪取したのも納得だ。そんな作品を作り上げたバズ・プーンピリヤ監督の新作が、『プアン/友だちと呼ばせて』。なんとこの作品、あのウォン・カーウァイがプロデュースを手掛けており、プロジェクト自体もカーウァイがバズ監督に声をかけたことから始まったという。
完成した『プアン/友だちと呼ばせて』は、『バッド・ジーニアス』のバズ監督ならではの勢い溢れる作品に仕上がっており、しかも今回は心に染みるラブストーリーの側面も持っている。どこを切っても正真正銘バズ監督作品なのに、どこからともなくウォン・カーウァイの香りも漂ってくるような、そんな気分も楽しめる作品だ。
今回は、ウォン・カーウァイとの出会いから、カメラークや編集まで、バズ監督に直接話を伺った。
Index
ウォン・カーウァイが僕と話したいなんて!
Q:ウォン・カーウァイとのタッグはとても意外でした。しかし完成した映画は二人が組んだからこそ出来る最高の映画になっていました。カーウァイから声がかかった時はどんな気持ちでしたか。
バズ:「僕と話したいなんて!」と、とにかく驚きましたがとても嬉しかったですね。その後、香港で実際に合ってミーティングをし、そこで「次の映画のプロデュースをしたい」と言われました。これまでお互いが作ってきた映画の方向性が違っていたこともあり、最初は驚き混乱しました。しかし、一緒に作ると決めてからは、二人で多くの時間を過ごし色んな話を積み重ねて映画を作り上げました。あんなに偉大な映画監督と一緒に仕事をしたなんて、いまだに信じられません。ちょうど先ほど、彼宛にメッセージを書いていたのですが、書きながら色んなことを思い出して泣きそうになりました。
『プアン/友だちと呼ばせて』©2021 Jet Tone Contents Inc. All Rights Reserved.
Q:劇中では主人公たちが元恋人たちに会いに行いきます。この元彼女たちには監督が実際につきあっていた方々を反映していると聞きました。ご自身の経験をそこまで映画に投影してみていかがでしたか?
バズ:ウォン・カーウァイと話し合って「今回の映画はパーソナルなものにしよう」と最初に決めたんです。それで、フィルムメーカー自身に深い意味のあるものを作ろうとしました。実際に作っている最中は、恥ずかしかったり居心地が悪かったりすることもたくさんありましたが、それはこの映画のためだと思って我慢しました。でも何だか、まるで裸で外を歩いているような気分でした(笑)。また、元カノを演出しているような錯覚に陥ったこともありましたね。