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『天間荘の三姉妹』北村龍平監督 今の自分にしか撮れないものを【Director’s Interview Vol.252】

『天間荘の三姉妹』北村龍平監督 今の自分にしか撮れないものを【Director’s Interview Vol.252】

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今の自分にしか撮れないものを



Q:今おっしゃったイズコの部分や、この世とあの世、その狭間などファンタジー要素が強いですが、そこを省略することなく正面から描いています。リアリティとのバランスは難しそうですが、その部分の演出への思いを教えてください。

 

北村:やっぱりエンターテインメントである以上、そこはちゃんとやらないとダメかなと。原作もファンタジックな要素があってこそ。ただ、脚本執筆の最初の段階では、今回の映画ではイズコは邪魔になるんじゃないかと原作の髙橋さんに言われたりもしたんです。だけどイズコを外したら、何もかもが崩れていくのではないか、そこは外せないよと議論になりました。今回の映画のタイトルには、髙橋さんの意見もあって「スカイハイ」という言葉を入れていません。「スカイハイ」を知ってようが知らなかろうが、これは『天間荘の三姉妹』という映画だと。ただ世界観のシステムとしては『スカイハイ』なので、そこからイズコと門は外せない。そこをちゃんとやるのはバランスとしてすごく難しかったです。どのくらいファンタジー色を強くするのか、何度も模索しましたが、最終的にはいいバランスになったかと思います。



『天間荘の三姉妹』©2022髙橋ツトム/集英社/天間荘製作委員会 


Q:今後はどういった映画を撮っていきたいですか?  


北村:アメリカに戻ったら年末から映画が2〜3本動く予定です。映画というのはタイミングなんです。『天間荘の三姉妹』も本格的に動き出したのは3年前。だから同じように今、色んな企画がある中で、役者や予算、プロデューサーなど、キーとなる色んなことのタイミングが合ったものを撮る。今はそれが一番いい方法だと思っています。そこはわりと柔軟になったのかもしれません。


こういう映画を作ったからといって、アクションや血みどろはやらないということでは全然ないんです。この作品を観た昔からの仲間が言ってくれたのですが、「これは今の北村龍平だから撮れたんだよね」と。その通りなんです。やっぱりそのときの僕にしかできないことを、そのときに一緒にやれる仲間たちとやっていければいいなと、今はそういう心境ですね。



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監督:北村龍平

1969年生まれ。渡部篤郎主演『ヒート・アフター・ダーク』(99年)で監督デビュー。初の長編作『VERSUS-ヴァーサス-』(01年)が世界的に高評価を受け、小山ゆう原作・上戸彩主演の時代劇『あずみ』(03年)、髙橋ツトム原作『ALIVE アライヴ』(03年)、大沢たかお・加藤雅也主演『荒神』(03年)、テレビシリーズも大ヒットした『スカイハイ』(04年)、ゴジラ映画の監督史上最年少で『ゴジラ FINAL WARS』(04年)を手掛けるなど数々の話題作・大作を発表後、ブラッドリー・クーパー主演『ミッドナイト・ミート・トレイン』(08年)から拠点をハリウッドに移し、ルーク・エヴァンス主演『ノー・ワン・リヴズ』(13年)、トロント国際映画祭ほか招待作『ダウンレンジ』(17年)、ルビー・ローズ&ジャン・レノ主演『ドアマン』(20年)を発表。本作はモンキー・パンチ原作、小栗旬主演の大ヒット作『ルパン三世』(14年)以来8年ぶりの日本映画となる。



取材・文: 香田史生

CINEMOREの編集部員兼ライター。映画のめざめは『グーニーズ』と『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』。最近のお気に入りは、黒澤明や小津安二郎など4Kデジタルリマスターのクラシック作品。


撮影:青木一成




『天間荘の三姉妹』

10月28日(金)全国公開

配給:東映

©2022髙橋ツトム/集英社/天間荘製作委員会 

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