撮影中の急募で運命の女優に出会う
Q:今回「謎の女」を演じた平山さんは映画初出演ということですが、独特の存在感を放っています。カーワイ監督は以前から彼女のことを知っていたんですか?
カーワイ:彼女のことは知らなくて、今回初めてお会いしました。最初のロケ地である沖縄のシーンを撮り終わってから、出演者が男ばかりだと気づきました。やはり映画を盛り上げるためには女優さんが必要だろうと。今、こういう話をすると、セクハラや差別と思われるかもしれないですが、映画はやはり女優さんが必要だと僕は思います。
沖縄のパートは撮り終わってしまったけど、「謎の女」という設定なら女優さんをキャスティングできるんじゃないかと思いました。あと、沖縄のシーンでは主人公が脚本を書けずに苦しむのですが、「それはミューズ(芸術の女神)がいないから書けなかった」という理由付けにもなると思いました。そこで沖縄の撮影が終わってから、「映画のミューズ」である謎の女性役をSNSで募集したんです。
Q:冒頭のシークエンスの撮影が終わってから、女優さんを探し始めたんですか?
カーワイ:そうなんです。結構応募が来たのですが、SNSを見た知り合いのプロデューサーが平山さんを推してくれたんです。そこですぐに東京で彼女に会ったのですが、その瞬間「もう彼女しかいない!」と思いました。急な募集でこんなに輝いている女性と出会えるなんて幸運でしかない、絶対彼女だと。
『あなたの微笑み』(C)cinemadrifters
Q:しかも、平山さんの初登場シーンの役は風俗嬢です。映画初出演の女優さんにとってはかなりハードルが高かったのではないでしょうか。
カーワイ:平山さんをキャスティングする前は本物の風俗嬢に出演してもらおうと思っていました。でも平山さんに出会えたので、まず「こういうシーンをやりたい」と伝えました。彼女も色々考えてくれて、彼女を推薦してくれたプロデューサーも女性だったので「そういうシーンがあるなら準備が必要だから、私が現場につかないと駄目だ」という条件も出されて、現場に同行してくれたんです。
そのプロデューサーがいてくれたから、あのシーンもうまくいったと思います。全く知らない場所で男性スタッフたちとそういうシーンをやるとしたら、多分どんな役者さんでも安心できない。その女性プロデューサーがいてくれて本当に助かりました。