自主映画へのこだわり
Q:本作は自主映画で、主人公が自主映画監督というメタ構造になっており、映画を作ることって一体何なんだろうとも考えさせられました。自主映画を作り続けることの魅力と課題を教えてください。
渡辺:僕は大田原愚豚舎という制作集団を立ち上げて、来年で10年になりますが、その間に12本の自主映画を作りました。始めた当初はまさか全部自主映画になるとは思っていなかったですね(笑)。
カーワイ:僕もそうですよ(笑)。
渡辺:その間に「大きい映画を撮ろうよ」というお声がけもなかったですし、結果的に自分は自主映画を作り続けるしかなかったんです。自主映画は自由に作りたいものを作れることが一番の強みだと思いますし、そこが面白さだと思います。その一方で難しいのは、製作資金集めや現実の生活とどう折り合いをつけていくのかという所です。でももう10年走ってきたので今更やめるわけにもいかないし、行けるところまで自主映画を作り続けるしかないと腹をくくっています。
『あなたの微笑み』(C)cinemadrifters
Q:カーワイ監督はいかがですか?
カーワイ:正直に言えば、自主映画を作りたいわけじゃなくて、ちゃんと予算もあって、スタッフや脚本家もいてくれて、宣伝配給までやってもらいたいと思うんです。でも実際なかなかそういう環境に恵まれないから、資金集め、撮影、編集、仕上げ、配給宣伝まで自分でやってしまう。本当に100%自主映画監督で、それは自慢ですよね。
でもそのやり方に限界があることは10年間やり続けて気付いていて、このままではいけないと思います。だからどうすればいいかずっと考えています。この映画は売れない映画監督の話ですが、ある意味では自分の話でもあるんです。