©RANDY RHOADS: LEGEND, LLC 2022
『ランディ・ローズ』アンドレ・レリス監督 伝説のギタリストの姿を通して送るミュージシャンたちへのメッセージ【Director’s Interview Vol.261】
世界のミュージシャンに向けたメッセージ
Q:ランディがオジーと活動した期間はたった2年、アルバムも2枚しか残していません。そんな彼は没後40年たった今も世界中のファンに愛され、崇拝され続けています。一体彼の何がそこまで人々を惹き付けるのでしょうか。
レリス:ロックスターは長生きする間に様々な問題が浮上して迷走することが往々にしてあります。でもランディはまさにキャリアの絶頂で栄光と共に天国へ行ってしまいました。飛行機事故は大変な悲劇ですが、まごうことなきロックスターのまま果てたわけです。それが崇拝される理由の一つだと思います。
もう一つはミステリアスな存在であったこと。ルックスもいいし、奏でるサウンドも素晴らしく、ものすごい才能があるが、その実像はよく知られていない。私もこのドキュメンタリーを作り始めてわかったのですが、彼についてのドキュメンタリーや参考にできるような資料はほとんど残っていないんです。調べていくと、ランディに関するドキュメンタリーや映画を作るという様々な企画が今までもあったのですが、全て頓挫していることがわかりました。ある映画会社で、今回の作品の10倍ぐらいの予算をかけたドキュメンタリー映画が2008年に製作されていたのですが、結局リリースされませんでした。
『ランディ・ローズ』©RANDY RHOADS: LEGEND, LLC 2022
Q:クワイエット・ライオットがアメリカでデビューできない時期に、日本でだけアルバムが2枚も発売されていたことも驚きでした。
レリス:このドキュメンタリーでは伝えたいことがいくつかあるのですが、その一つは日本限定盤となったアルバムを、アメリカやヨーロッパのファンに聴かせてあげたいことです。ランディの死後、クワイエット・ライオットがアメリカで正式デビューしてから出したアルバムと聴き比べると、ランディが在籍した時代の方が優れていると思いました。
音楽ビジネスは「こうやって攻略すればうまくいく」という確かな方法がなく、とらえどころのないものです。タイミングや人脈、しかるべき時にしかるべき場所にいたか。そうした要素が絡みあって成功につながります。ランディ・ローズのようなロックの殿堂入りをした伝説のギタリストも、クワイエット・ライオットで7年間活動してレコード契約を結べなかった。これからミュージシャンとしてやっていく人たちも、すごく苦労すると思うのですが、「ランディ・ローズだってレコード契約を結べなかったんだから、君たちも頑張りな。君たちにも才能はあるんだよ」と伝えたいんです。
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監督:アンドレ・レリス
90年代後半にFoxスポーツテレビのプロデューサーとしてキャリアをスタート、後にAmazing Movies、Lionsgateなどで映画配給を行う。その後、アパレル販売会社のVision Filmsのパートナーとなり、音楽専門部門Vision Musicを設立。2010年には、ハリウッドを拠点とする映画製作会社VMI World Wideを設立、現在も多くの映画を製作し、全世界に配給している。近年では、北村龍平監督「THE PRICE WE PAY」(原題)、トミー・リー・ジョーンズ&アーロン・エックハート主演「WANDER」(原題)等を製作。2015年に、アメリカの伝説的HIP HOP グループN.W.Aの真実を暴くドキュメンタリー「N.W.A & EAZY-E:キングス・オブ・コンプトン」で初めて監督を務め、本作が2作目となる。
取材・文:稲垣哲也
TVディレクター。マンガや映画のクリエイターの妄執を描くドキュメンタリー企画の実現が個人的テーマ。過去に演出した番組には『劇画ゴッドファーザー マンガに革命を起こした男』(WOWOW)『たけし誕生 オイラの師匠と浅草』(NHK)『師弟物語~人生を変えた出会い~【田中将大×野村克也】』(NHK BSプレミアム)
『ランディ・ローズ』
絶賛全国ロードショー中
配給:アルバトロス・フィルム
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