©RANDY RHOADS: LEGEND, LLC 2022
『ランディ・ローズ』アンドレ・レリス監督 伝説のギタリストの姿を通して送るミュージシャンたちへのメッセージ【Director’s Interview Vol.261】
若くして亡くなり伝説となったスターはロックの世界に数多くいるが、ランディ・ローズはその代表格と言えるだろう。1980年、オジー・オズボーンのバンドに参加した彼は抜群の作曲センスと、クラシックを取り入れた独創的なギターソロで瞬く間にロックファンを魅了した。しかし、わずか2年後の1982年、飛行機事故により帰らぬ人となる。たった2年という活動期間だったが、没後40年経つ今も彼は世界中で愛され続けている。
そんなランディ・ローズの実像に迫った本作は、今まで謎に包まれていたランディの生い立ちから下積み時代にスポットを当てたドキュメンタリー。特に彼がオジー・オズボーンと組む前に在籍したバンド、クワイエット・ライオットの活動にフォーカスし、悲劇の天才ギタリストの等身大の姿に迫る。
自身もミュージシャンだった経歴を持つアンドレ・レリス監督に話を聞いた。
Index
ファン向けのDVDに眠っていた貴重映像
Q:レリス監督は1975年生まれなので、ランディ・ローズの音楽を同時代で体感したわけではないと思います。監督にとってランディ・ローズはどんな存在なのでしょうか?
レリス:私は映画製作に携わる以前はプロのミュージシャンでした。2003年にはビジョンミュージックというレーベルも立ち上げています。そんな私が人生で最初にハマった音楽がヘビーメタルでした。12歳の頃には完全に没頭していて、その頃に音楽の頂点として崇めていたのが、オジー・オズボーンの「ブリザード・オブ・オズ〜血塗られた英雄伝説」というランディが参加したアルバム。「これこそ最高の音楽だ」と思いました。
私にとってランディ・ローズは、「オジー・オズボーンの初期のアルバムで演奏していたギタリスト」という程度の認識でしたが、一方で知的でミステリアス、炎と栄光と共に消えていった伝説の存在だったんです。だから彼のストーリーを語れたらとても興味深いし、そのドキュメンタリーは人を惹き付けるものになるに違いない。以前からそう思っていました。
『ランディ・ローズ』©RANDY RHOADS: LEGEND, LLC 2022
Q:今年はランディ・ローズの没後40年にあたりますが、本作を監督した経緯はどんなものだったのでしょうか?
レリス:本腰を入れ始めたのは2年前で、きっかけは『Randy Rhoads the Quiet Riot Years』という2012年に作られたドキュメンタリーでした。その作品は劇場で公開されず、ランディ・ローズのファン向けにDVDでリリースされたものでした。
ある日、その作品のプロデューサーが私の所にやってきて「日の目を見ていないこの作品をなんとかしたい」と相談を受けました。ただし公開するためには、権利をクリアしなければならない映像が多くありました。「映像の権利問題を私が全部処理するから、自分に新しい作品として作らせてほしい」ともちかけ企画を譲り受けたんです。
Q:L.A.ガンズのトレイシー・ガンズがナレーターを務めているのも驚きです。
レリス:この映画を語るのに一番ふさわしい人物がトレイシー・ガンズでした。彼はランディ・ローズのトリビュート・コンサートやトリビュート・アルバムには必ずギタリストとして参加しています。トレイシーはランディ・ローズの大ファンで、今も「ランディだったらどうするだろう?」と自問自答しながら生きているそうです。そこで、トレイシーにナレーションを打診したら、すぐに「やる」と言ってくれました。ナレーションのレコーディングは彼の自宅兼スタジオでやらせてもらいました。とても素晴らしい人でしたね。