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『グリーン・ナイト』デヴィッド・ロウリー監督 最後には必ず自然が勝つ 【Director’s Interview Vol.264】
映画を巨大なものに感じてほしい
Q:『ロード・オブ・ザ・リング』や『ゲーム・オブ・スローンズ』などのファンタジーとは一線を画した独特のクールな世界観が展開されます。ビジュアル面で参考にしたようなものはありますか?
ロウリー:現代のファンタジーはあまり見ないようにしていましたが、準備段階のスタッフは皆『ロード・オブ・ザ・リング』3部作を見ていたのは確かです。『ドラキュラ』(92)や、より高尚で様式化された映画も参考にしました。『スター・ウォーズ』シリーズやデヴィッド・リンチ版の『デューン/砂の惑星』(84)などのSF映画も参考にしています。絵画もたくさん参考にしていて、ゴヤの「巨人」、ヴィクトル・ヴァスネツォフの「岐路に立つ騎士」、ジョン・ウィリアム・ウォーターハウスの全作品、様々なクリムトの絵画などを参考にしました。
Q:ロケーションがとにかく素晴らしく、それを切り取る撮影のアンドリュー・ドロス・パレルモの構図やカメラワーク、色調も全編にわたり冴え渡っています。ロケーションはどのような点を踏まえて探し、撮影のアンドリューとはどんなことを話されたのでしょうか。
ロウリー:映画を巨大なものに感じてほしかったし、クローズアップのカットもすべて、風景と同じくらい壮大に見せたいと思っていたので、ロケハンでは広さや奥行きがあり、登場人物の上にそびえ立って見えるような場所を常に探していました。いつも思い通りの場所が見つかるわけではありませんでしたが、努力はしました。あるとき、あまりにも美しすぎる場所で1シーンをまるまる撮影したのですが、まるで絵葉書のように見えたのでカットしてしまったこともあります。
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アンドリューやプロダクション・デザイナーのジェイド・ヒーリー、衣装デザイナーのマウゴシャ・トゥルジャンスカと一緒に映画の配色を考え、ストーリーに沿って色が進むように各シークエンスをブロック分けしていきました。構図については、絵コンテを描いたシークエンスもありますが、多くは現場で決めました。自分たちで一定のルールを決め、たとえば使用するレンズを限定するなどして、その設定をもとに撮影しています。
Q:クリスマス前の冬の話ということもありロケーション撮影は曇天が多いです。そこは意図されているのでしょうか。
ロウリー:冷たくて曇った空を望んでいたのですが、その通りの天気になったのは最初の1週間だけでした。撮影中は季節外れの暖かさと日差しとなってしまいました。しかし、幸運なことに、この最初の数日に撮影したものが映画全体で使うことができて、一貫した冬の雰囲気を醸し出しています。城の中は外よりも常に寒かったですね。