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『グリーン・ナイト』デヴィッド・ロウリー監督 最後には必ず自然が勝つ 【Director’s Interview Vol.264】

© 2021 Green Knight Productions LLC. All Rights Reserved

『グリーン・ナイト』デヴィッド・ロウリー監督 最後には必ず自然が勝つ 【Director’s Interview Vol.264】

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どの形式のVFXも大好き



Q:VFXはマットペイントから最先端のCGIまで色々と使い分けたと聞きました。グリーン・ナイトの顔も特殊メイクです。全てをCG処理にしなかった理由を教えてください。


ロウリー:どんな形式のVFXも大好きで、どれが一番好きとは言えません。いずれも素晴らしい職人技が必要だからです。CGIも好きですし、現在ではCGIなしに映画を作ることはできませんが、伝統的な映画の魔法と呼べる手法も好きなんです。緑の騎士のようなファンタジックなキャラクターが撮影現場にいて、みんながそれに反応すると、撮影現場は不思議な雰囲気に包まれます。それはCGIとは大きな違いを生み出してくれます。私はブルースクリーンを使うよりもセットを建てたりロケ場所で撮影するようにしていますが、必要に応じてCGIを用いるとそのセットやロケーションがより良いものになることも知っています。なるべくリアリティーのある形で映画を作れば、ファンタスティックな要素も結果的により現実感を持つのです。


将来的には、パペットやアニマトロニクスを使った映画を作りたいですね。大好きなテクニックですが、これまで用いたことはないんです。キツネにパペットを用いようという話も出ましたが、難しすぎて断念しました。それから、いつか本当に素晴らしいミニチュアを用いた映画を作ってみたいです!ミニチュアセットを使った短編映画を作ったことがありますが、すごく幸せでした。



『グリーン・ナイト』© 2021 Green Knight Productions LLC. All Rights Reserved


Q:ジョージ・ルーカスとロン・ハワードの『ウィロー』(88)は好きなファンタジー映画で本作制作のきっかけになったそうですが、他にも好きで参考にした映画があれば教えてください。


ロウリー:先ほど挙げた『ドラキュラ』は大きな存在です。『スター・ウォーズ』シリーズ、特に旧三部作はいつも参考にさせてもらっています。この映画との関わりでいうと、ジム・ジャームッシュの『デッドマン』(95)、マーティン・スコセッシの『沈黙 -サイレンス-』(16)、タルコフスキーの『アンドレイ・ルブリョフ』(69)、セルゲイ・ボンダルチュクの『戦争と平和』(65~67)、ティム・バートンの『スリーピー・ホロウ』(99)が大きな参考になりました。それから、ポール・トーマス・アンダーソンの映画は、いつも頭の中にいろいろと浮かんでいます。


Q:ファンタジーに限らず、影響を受けた監督や映画作品を教えてください。


ロウリー:ポール・トーマス・アンダーソン、クレール・ドゥニ、デヴィッド・フィンチャー、ジェーン・カンピオン、シャンタル・アケルマンなど大物たち全員です!年を取るにつれ、スピルバーグにのめり込んでいきましたし、ロバート・アルトマンのフェーズからスピルバーグのフェーズに移行した感じです。ツァイ・ミンリャンとアピチャッポン・ウィーラセタクンからも強い影響を受けました。最近では、ずっと距離を置いていたベルイマンへの愛を再確認しています。ジョナサン・グレイザーもですね。どれからもインスパイアされています。




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監督・脚本・編集:デヴィッド・ロウリー

1980年、アメリカ生まれ。05年に長編監督デビュー作「Deadroom」がテキサス映画祭の最優秀長編映画監督賞を受賞。13年にケイシー・アフレック、ルーニー・マーラを主演に迎えた『セインツ -約束の果て-』がカンヌ国際映画祭の批評家週間部門で特別上映された。16年にはディズニーのファンタジー映画『ピートと秘密の友達』の監督に抜擢される。17年『A GHOST STORY/ア・ゴースト・ストーリー』がサンダンス映画祭でプレミア上映され観客賞にノミネートされた他、ナショナル・ボード・オブ・レビューのインディペンデント映画トップ10に選出されるなど高い評価を獲得。18年の『さらば愛しきアウトロー』は主演のロバート・レッドフォードの俳優引退作となり、大きな話題を集めた。21年にはジャファル・パナヒやアピチャッポン・ウィーラセタクンなど錚々たる映画作家たちがCOVID-19をテーマに短編を制作した『永遠に続く嵐の年』に参加。ディズニーのアニメーション『ピーター・パン』(53)にインスピレーションを受けた、ジュード・ロウ主演の最新作『ピーター・パン&ウェンディ』が23年にDisney+で配信予定。



取材・文:香田史生

CINEMOREの編集部員兼ライター。映画のめざめは『グーニーズ』と『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』。最近のお気に入りは、黒澤明や小津安二郎など4Kデジタルリマスターのクラシック作品。





『グリーン・ナイト』

11月25日(金)TOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー!

配給:トランスフォーマー

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