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レッドフォードの俳優引退作『さらば愛しきアウトロー』を託された若手監督の奮闘とは

Photo by Eric Zachanowich. (c) 2018 Twentieth Century Fox Film Corporation All Rights Reserved

レッドフォードの俳優引退作『さらば愛しきアウトロー』を託された若手監督の奮闘とは

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※2019年7月記事掲載時の情報です。


『さらば愛しきアウトロー』あらすじ

時は1980年代初頭、アメリカ。ポケットに入れた拳銃をチラリと見せるだけで、微笑みながら誰ひとり傷つけず、目的を遂げる銀行強盗がいた。彼の名はフォレスト・タッカー、74歳。被害者のはずの銀行の窓口係や支店長は彼のことを、「紳士だった」「礼儀正しかった」と口々に誉めそやす。事件を担当することになったジョン・ハント刑事も、追いかければ追いかけるほどフォレストの生き方に魅了されていく。彼が堅気ではないと感じながらも、心を奪われてしまった恋人もいた。そんな中、フォレストは仲間のテディとウォラーと共に、かつてない“デカいヤマ”を計画し、まんまと成功させる。だが、“黄昏ギャング”と大々的に報道されたために、予想もしなかった危機にさらされる─。


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2018年を彩った二人のレジェンド



 思えば、2018年は不思議な年だった。クリント・イーストウッドが高齢の“運び屋”役でまさかの銀幕復帰を果たし、これと期を同じくして、ロバート・レッドフォードまでもが高齢の銀行強盗役を嬉々として演じたのだ。


 両者ともに俳優としてのタイプは全く異なるものの、長いキャリアの中で常にアウトサイダーであり続け、独自の強いこだわりを持って人生を駆け抜けてきた。そんな彼らが演じるからこそ、両作の一瞬一瞬には、単なる映画を超えた深い意味合いがほとばしっている。走り続ける道のり、挑み続けるヤマには、自ずと彼らの生き様が投影されているようにさえ思えたものだ。


『さらば愛しきアウトロー』予告


 それに、レジェンドたる者、多くの後輩にその背中を追われる身であることは世の常。彼らの演じる主人公もまた、『運び屋』ではブラッドリー・クーパーに、『さらば愛しきアウトロー』ではケイシー・アフレックに追われる存在だった。そして追う者、追われる者が運命的な対面を果たす場所が共に“ダイナー”というのも、これらの映画の愛しき共通点と言えるだろう(本当に重要なドラマはいつだってダイナーで起こるのだ)。


 かくもどこか似た感触を持つ両作だが、究極的に違うのは『運び屋』がイーストウッド自らの監督作である一方、『さらば愛しきアウトロー』が親子ほど齢の離れた若手監督の手に委ねられていた点に尽きる。同じ肖像画でも、自画像とそうでないものとではニュアンスが異なることを考えると、これは大きな違いだ。


 もっとも、これがレッドフォードの俳優引退作になると知った時の監督の驚きとプレッシャーは、我々の想像を超える巨大なものだったろうが————。



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