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レッドフォードの俳優引退作『さらば愛しきアウトロー』を託された若手監督の奮闘とは

レッドフォードの俳優引退作『さらば愛しきアウトロー』を託された若手監督の奮闘とは


伝説を“追いかける”側に投影されたものとは



 もう一つ、本作で興味深いのは、レジェンドを追いかけるケイシー・アフレックの存在である。


 彼はこれまでにも『セインツ』と『ア・ゴースト・ストーリー』(17)に主演し、ロウリー監督とは心の奥底まで知り合った仲だ。刑事役の彼と強盗犯レッドフォード、このネコとネズミの関係性によって『ヒート』(95)的なデッドヒートが展開するのかと思いきや、映画はまるで違う方向へ進む。偶然にも犯行現場に居合わせたアフレックは、このフォレスト・タッカーについて過去の事件や半生を紐解くうちに、誰も傷つけず、優雅かつ紳士的で、自身の筋を貫き通した彼の“人となり”に、どんどん魅了されていくのである。




 この時点で多くの観客がピンとくるはず。本作の主人公がレッドフォードを投影したものであったように、アフレック演じる刑事役はおそらくロウリー監督の分身でもある。思いがけない“誘い”をきっかけにこのプロジェクトへ招待され、このレジェンド俳優について広く深く掘り下げていくうちに、どんどん彼に魅了されていったロウリー。そのときめく心境がここに透けて見えるかのようだ。


 感傷やノスタルジーに浸り過ぎるわけでもなく、ファンファーレも鳴らず、かといってドンパチのカタルシスが詰まっているわけでもない。ここにはとにかく、レッドフォードが銀幕の中で貫いてきた生き様と、それを追いかける者の憧憬が刻まれている。非常にコンパクトでささやかながら、ふとナチュラルに口からこぼれ落ちたかのような“一人の男への讃歌”がそこには響く。




 派手さはなく、どこまでも粋。ロバート・レッドフォードが「この映画と共に俳優人生を終えられるなら本望」と決意したのも、とても頷ける気がするのだった。



参考記事URL

https://www.vulture.com/2018/09/robert-redfords-final-director-weighs-in-on-his-retirement.html

https://www.slashfilm.com/the-old-man-and-the-gun-director-interview/

https://ew.com/movies/2018/10/12/david-lowery-old-man-and-the-gun-peter-pan-interview/



文: 牛津厚信 USHIZU ATSUNOBU

1977年、長崎出身。3歳の頃、父親と『スーパーマンII』を観たのをきっかけに映画の魅力に取り憑かれる。明治大学を卒業後、映画放送専門チャンネル勤務を経て、映画ライターへ転身。現在、映画.com、EYESCREAM、リアルサウンド映画部などで執筆する他、マスコミ用プレスや劇場用プログラムへの寄稿も行っている。



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作品情報を見る




『さらば愛しきアウトロー』

7/12(金)、TOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー

配給:ロングライド

Photo by Eric Zachanowich. (c) 2018 Twentieth Century Fox Film Corporation All Rights Reserved

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