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『フラッグ・デイ 父を想う日』ショーン・ペン監督 鑑賞後の映画は観客のもの【Director’s Interview Vol.273】

© 2021 VOCO Products, LLC

『フラッグ・デイ 父を想う日』ショーン・ペン監督 鑑賞後の映画は観客のもの【Director’s Interview Vol.273】

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大好きな父親が実は犯罪者だったという衝撃の実話を映画化。原作はジャーナリストのジェニファー・ヴォーゲルの回顧録。『ミスティック・リバー』(03)『ミルク』(08)で主演俳優としてアカデミー賞®を受賞し、監督作『イントゥ・ザ・ワイルド』(07)が同賞2部門にノミネートされたショーン・ペンが構想15年をかけて監督・主演を果たした。ジェニファーを演じるのは、実の娘であるディラン・ペン。ヒーローのような父への憧れがその実像を知ることで反抗心へと変わり、もがきながらも自立した結果、弱さや矛盾に満ちた父への愛情を深めてゆく娘を多彩な感情表現で演じきった。


今回はショーン・ペンのオフィシャルインタビューを掲載。実の親子で共演を果たし、監督・主演も務めたことについて語ってくれている。



『フラッグ・デイ 父を想う日』あらすじ

1992年、全米にショッキングなニュースが流れる。アメリカ最大級の贋札事件の犯人であるジョン(ショーン・ペン)が、裁判を前にして逃亡したのだ。彼にはジェニファー(ディラン・ペン)という娘がいた。父の犯罪の顛末を聞いたジェニファーは、こうつぶやく──「私は父が大好き」。史上最高額の贋札を非常に高度な技術で偽造したジョンとは、いったいどんな男だったのか?父の素顔を知っても愛情は変わらなかった娘との関係とは?ジェニファーが幼い頃から「平凡な日々を見違えるほど驚きの瞬間に変えた」父との思い出を宝物のように貴い、だからこそ切ない日々がひも解かれていく──。


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最初に浮かんだのはディランの顔



Q:映画製作者にはそれぞれ物語を探す方法があると思いますが、どのようにこの物語と出会ったのでしょうか。


ショーン:僕が世界で一番好きな俳優の一人はマーク・ライランスなんだ。彼とは長い付き合いで、彼はロンドン、僕はロスに住んでいた。あるとき彼から電話があり「読んでほしい脚本がある。監督もしくは俳優として興味があると思う」と言い、脚本を送ってきた。それですぐに読んだ。僕の場合、映画の脚本を書きたいと思う時は、まずイメージが浮かぶか、誰かが書いた脚本を読んでイメージが浮かぶかどちらかなんだ。そのイメージはたいてい全体像で、全体の展望や何か凝縮されたようなイメージだ。


でも、今回は顔が浮かんだ。それも娘のディランの顔だ。ただ最初に浮かんだのが彼女の顔で、彼女が何かを聞いている顔を見たいと思った。彼女が聞いていることが本当なのかウソなのか、どちらであってもそれは見ていて美しいと思った。どのような形で出会ったとしてもこの映画に関わることにしたと思う。



『フラッグ・デイ 父を想う日』© 2021 VOCO Products, LLC


Q:原作の回顧録と今回の脚本の魅力を教えてください。


ショーン:この回顧録自体が、散文の中に存在する率直さにおいてすごく豊かで、映画が6本くらい作れそうな勢いだった。それを、脚本家のジェズ・バターワースとジョン=ヘンリー・バターワースが、回顧録からその意図を見事に抽出して脚本に落とし込んでくれた。僕は、家族の繋がりに関する物語に激しく心を揺さぶられる。これは、人生に存在する様々な馴染みのあるテーマを見出すことのできる物語なんだ。





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