©ACME Image (Beijing) Film Cultural Co., Ltd
『カンフースタントマン 龍虎武師』サモ・ハン 「決してNOと言わない!」スタントマンたちが語る驚愕の香港アクション裏面史【Actor’s Interview Vol.27】
80年代に小中学生だった筆者にとって、香港映画は「日常」だった。テレビでは毎週のように、ジャッキー・チェンやサモ・ハン・キンポーのアクション映画が放送され、翌日学校ではアクションの物まねで友だちと盛り上がる。まさにボクらを作った映画たちだ。『カンフースタントマン 龍虎武師』は、そんな70~90年代に香港で作られた、カンフー・アクション映画を支えたスタントマンたちの姿を描く。当時を知る人はもちろん、全てのアクション映画ファンの胸を熱くすること間違いなしの必見作だ。
サモ・ハン*1、ドニー・イェン、ツイ・ハーク、ユエン・ウーピンなどアクション映画の巨匠やスターによる証言から、香港アクションの歴史と当時の常軌を逸した製作現場の裏側が明らかになる。香港スタントマンたちの矜持は「決してNOと言わないこと」。求められればどんな危険なスタントにも挑戦、そこに命の保証などない。今なら当然大問題だが、彼らの無謀な挑戦によって数々の傑作が生みだされたことも、また事実なのだ。
是非、本作の関係者にインタビューしたい…、そんな筆者の想いが通じたのか、なんと我らが「デブゴン」、サモ・ハン師の登場が決定!奇跡のインタビューが実現した。香港映画界の大兄貴に話を聞いた。
*1)1998年にサモ・ハン・キンポーは英名をサモ・ハンと短くした。
Index
ブルース・リーからの教え
Q:本作で描かれるように、サモ・ハンさんたちが1970年代に新たなスタイルのカンフー映画を提示することで、80年代の香港映画ブームの下地を作りました。新たなスタイルのカンフーを確立するため、当時どんな点を重視し、工夫されたのでしょうか?
サモ・ハン:私がしたことは新しいスタイルを作り出すとか、そんな大層なことではありません。あの頃、私はまだ映画界に入ったばかりの新人で、とにかく一生懸命自分のやるべきことをやるしかありませんでした。自分をもっと良くしよう、アクションをもっと良くしようとする日々です。その時に大切にしたのは「自分にはどういったカンフーができるのか」、そして「観客はどういうアクションを観たいのか?」をちゃんと理解することでした。そしてもう一つ「このアクションは自分しかできない」という特技を持つことも。だから重視したことと言われれば、今言ったようなことを楽しく面白くやってみせる、ということですね。
『カンフースタントマン 龍虎武師』©ACME Image (Beijing) Film Cultural Co., Ltd
Q:あなたはブルース・リーとも共演されていますが、彼からどんな影響を受けていますか?
サモ・ハン:ブルース・リーからは2つの点で大きな影響を受けました。まずは人格の重視。人格がしっかり形成されていないと、映画の中で魅力的なキャラクターが表現できません。もう一つは中国人であることや、民族の特徴といったことを常に意識すること。これらのことに関して、ブルース・リーからは沢山学ぶことができました。