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『別れる決心』パク・チャヌク監督 繊細で優雅、深みのある映画にしたかった【Director’s Interview Vol.281】

『別れる決心』パク・チャヌク監督 繊細で優雅、深みのある映画にしたかった【Director’s Interview Vol.281】

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韓国語を文法から学んだタン・ウェイ



Q:タン・ウェイさんは中国の俳優ですが、監督はどのように韓国語の演出をされたのでしょうか。


パク:彼女は韓国語が全く出来ない状態からスタートしました。俳優が外国語で演技をする場合、まずはセリフを音として覚え、それを発して演技をするのが普通です。しかし彼女はこだわりがあり、韓国語を文法から学び単語の意味や理由まで全て把握しようとしていました。それでタンさんには、文法を教える先生と演技ができる韓国語の先生の二人についてもらいました。


演技ができる先生(女性)に対して私が演出を施し、先生にソレを演じてもらいセリフを録音しました。それを練習用としてタンさんに渡すと、何故か「監督の声も欲しい」と言うので(笑)、私は自分でソレを演じて録音しそれも渡しました。さらにそれだけは終わらず、相手役のパク・ヘイルさんのセリフも欲しいと言うので、パクさんにもセリフを録音してもらいました。彼女はそれを聞きながらずっと練習してくれました。時間もかかり大変な作業だったと思いますが、彼女は自分のセリフだけではなく相手のセリフまで覚えた上で、韓国語の演技に挑んでくれたんです。



『別れる決心』© 2022 CJ ENM Co., Ltd., MOHO FILM. ALL RIGHTS RESERVED


Q:タンさんの多彩な表情も魅力的でした。彼女の表情や仕草でお気に入りのシーンはありますか?


パク:映画後半の取調室でのシーンが一番気に入っています。刑事へジュンの質問にソレが答える際、自身のことを実に可哀想な女だと表現するのですが、そのときの表情がとても悲しくもあり愛らしくもある。素晴らしい演技でしたね。




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監督・脚本:パク・チャヌク

1963年8月23日生まれ。1990年代、熱心な映画ファンでもあり大学在学中から映画評論家として活躍する。92年に『月は…太陽が見る夢』で監督デビューを果たす。『JSA』(00)は、当時の韓国歴代国内興行記録を塗り替え大ヒット。続いて2002年には『復讐者に憐みを』で、強烈で冷酷な自身のスタイルを打ち立て、世に知らしめた。『オールド・ボーイ』(03)が第57回カンヌ国際映画祭において、韓国映画として初となるグランプリを受賞、世界的に知られ成功を収める。『親切なクムジャさん』(05/ヴェネツィア国際映画祭コンペティション出品)、『サイボーグでも大丈夫』(06/ベルリン国際映画祭コンペティション出品)とテーマ性のある作品を世に送り出し、『渇き』(09)では第62回カンヌ国際映画祭審査員賞を受賞。そして初めての英語作品『イノセント・ガーデン』(13)を発表し、同じく韓国出身のポン・ジュノ監督の初の英語作品『スノーピアサー』(13)では製作を務める。その後『お嬢さん』(16)で第69回カンヌ映画祭コンペティション部門上映だけでなく、第71回英国アカデミー賞で英語圏以外の作品賞を獲得。世界中から高い評価を得て、国際的な映画監督としての立場をさらに強固なものとした。他にもBBCで放映された初のテレビ・シリーズ「リトル・ドラマー・ガール 愛を演じるスパイ 」から、アップルとのコラボレーションの短編映画「Life Is But a Dream」まで、独自の映画世界を作り上げている。6年ぶりの長編映画となる本作は、刑事ドラマ、ロマンス、予想外のユーモアを織り交ぜ、前作までのタブーを破るような衝撃的な作品ではなく、微妙な感情の揺らぎと脈打つ内なる波が共存する深いドラマに仕上がっている。



取材・文:香田史生

CINEMOREの編集部員兼ライター。映画のめざめは『グーニーズ』と『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』。最近のお気に入りは、黒澤明や小津安二郎など4Kデジタルリマスターのクラシック作品。


撮影:青木一成




『別れる決心』

2月17日(金)TOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー

配給:ハピネットファントム・スタジオ

© 2022 CJ ENM Co., Ltd., MOHO FILM. ALL RIGHTS RESERVED

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