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『いつかの君にもわかること』ウベルト・パゾリーニ監督 愛とは耳を傾けること【Director’s Interview Vol.282】
愛とは耳を傾けること
Q:映画に出てくる家族や子供たちを見ていると、色々なことを考えさせられます。現代の子供たちの境遇や抱えている問題に対して、監督自身は思うことはありますか。
パゾリーニ:今の子供たちは大人になるのがとても難しいと思います。経済問題や気候変動、戦争など、良くないニュースとその危機感を語る大人たちに囲まれている。若い子たちのロールモデルさえもフェイクで、SNSの煌びやかな投稿からは非現実的な作り物を見せつけられ、自分もそこに追いつかなければと煽られる。常にアイデンティティを自問しなければいけない状況で、気候変動や戦争で世界が終わるかもしれないという、不安の中を生きている。
『いつかの君にもわかること』© 2020 picomedia srl digital cube srl nowhere special limited rai cinema spa red wave films uk limited avanpost srl.
そんな状況の今、親として重要なのは子供たちの言葉にちゃんと耳を傾けること。この映画を作りそれを学んだ気がします。答えを伝えることが愛ではなく、何を問われているのかに耳を傾けるのが愛。大人たちがちゃんと耳を傾けること、そういう時間を作ること。私も15年前にそれに気づいていれば、娘たちとの接し方も変わっていたかもしれません。
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監督・脚本:ウベルト・パゾリーニ
1957年5月1日、イタリア生まれ。1983年に映画業界に入り、制作助手を務めた『キリング・フィールド』(84)が、英国アカデミー賞作品賞を受賞する。プロデューサーを務めた『フル・モンティ』(97)が全世界で大ヒット。アカデミー賞®作品賞にノミネートされる。2008年に監督デビューし、長編映画1作目『Machan(原題)』(08)が、数多くの国際映画祭で賞を獲得。2作目に手掛けた『おみおくりの作法』(13)は、ヴェネチア国際映画祭オリゾンティ部門監督賞を含む4冠に輝く。日本でリメイク版として製作された阿部サダヲ主演の『アイ・アム まきもと』(22)では、原作者としてだけではなくエグゼクティブプロデューサーとしても名を連ねる。今後の作品に、製作総指揮を務めるリミテッドシリーズ「The Full Monty(原題)」。
取材・文:香田史生
CINEMOREの編集部員兼ライター。映画のめざめは『グーニーズ』と『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』。最近のお気に入りは、黒澤明や小津安二郎など4Kデジタルリマスターのクラシック作品。
『いつかの君にもわかること』
2月17日(金)YEBISU GARDEN CINEMA他にて公開
配給:キノフィルムズ
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