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『バビロン』スクリーンの天使たちによるラストダンス!

(C) 2023 Paramount Pictures. All Rights Reserved.

『バビロン』スクリーンの天使たちによるラストダンス!

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『バビロン』あらすじ

1920年代のハリウッドは、すべての夢が叶う場所。サイレント映画の大スター、ジャックは毎晩開かれる映画業界の豪華なパーティの主役だ。会場では大スターを夢見る、新人女優ネリーと、映画製作を夢見る青年マニーが、運命的な出会いを果たし、心を通わせる。恐れ知らずで奔放なネリーは、特別な輝きで周囲を魅了し、スターへの道を駆け上がっていく。マニーもまた、ジャックの助手として映画界での一歩を踏み出す。しかし時は、サイレント映画からトーキーへと移り変わる激動の時代。映画界の革命は、大きな波となり、それぞれの運命を巻き込んでいく。果たして3人の夢が迎える結末は…?


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すべてがクライマックスの人生



 努力して手に入れた成功をすべて手放すようなロマン。シャボン玉のように弾けて消えてしまう人生。デイミアン・チャゼルが『バビロン』(22)で描くのは、熱病のような高揚感に煽られたスクリーンの天使たちによる急上昇、急下降の人生だ。いずれ自分の存在が消えてしまうことが分かっているからこそ、本作の登場人物たちは最後のパーティーを繰り返す。すべてが人生のクライマックスであるかのように。狂騒の20年代。黄金の煌びやかさに彩られた狂乱のパーティー。ようこそクソまみれ、ゲロまみれのハリウッドへ!


 パーティーのために用意された象をトラックに載せて運ぶ冒頭シーンは、清濁を同時に呑み込んでいく本作の基調をよく表わしている。重量に耐えられなくなったトラックは坂道を逆行する。必死にトラックを支える運び屋。次の瞬間、象の糞が大量に放出され、登場人物だけでなく、カメラのレンズごとクソまみれになってしまう。パーティーのために象を用意するというクレイジーな贅沢とレンズにこびりついたクソ。吐き気をもよおすほどウットリするショービズの世界、その裏側。吐瀉物の中でキラメク人生。スクリーンに約束された不老不死の契約。まるで悪魔の契約の代償であるかのように、彼らは爆発的なスピードで破滅的に人生を生き急いでいる。それがいかに悲惨で、いかに素晴らしいものであったか。過剰であることを愛する映画。デイミアン・チャゼルは、この時代のスターたちによる不完全さにとめどない愛情を注いでいく。



『バビロン』(C) 2023 Paramount Pictures. All Rights Reserved.


 ジャスティン・ハーウィッツの手掛ける本作の素晴らしいスコアは、同じテーマを別のアレンジで響かせていく。感傷が滲むシーンではどこまでもメランコリックな響きに。ラテンのリズムを加えるときは獰猛なくらいワイルドな響きに。そしてこのメインテーマには歌が乗ることもある。その時々の状況によって響きを変えていくという意味で、デイミアン・チャゼルが愛するジャズを映画によって表現する試みであり、それぞれの響きのどれもが、いつまでも胸に残り続ける。胸が張り裂けそうになるくらいだ。





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