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『いつかの君にもわかること』ウベルト・パゾリーニ監督 愛とは耳を傾けること【Director’s Interview Vol.282】

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『いつかの君にもわかること』ウベルト・パゾリーニ監督 愛とは耳を傾けること【Director’s Interview Vol.282】

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余命わずかなシングルファーザーが4歳の息子の養子縁組をするべく、二人で新たな家族を探し出すーー。本作『いつかの君にもわかること』の監督・脚本を手掛けたウベルト・パゾリーニは、小津安二郎やダルデンヌ兄弟の作品に見られるような、ストーリーに対し非常に繊細かつ“控えめ”な手法を採用し、メロドラマや感情主義とは最大限距離を置いたという。そのコメントの通り、本作に感傷的な場面はほとんどなく、描かれるのは親子二人のささやかな生活。しかし、その何気ない日常の積み重ねが、観ている側にじわじわと蓄積され、気づけば涙が制御できない状態に…。


パゾリーニ監督はなぜこの手法を採用したのか。本人に話を伺った。



『いつかの君にもわかること』あらすじ

窓拭き清掃員として働く33歳のジョン(ジェームズ・ノートン)は若くして不治の病を患い、残された余命はあとわずか。シングルファーザーとして男手ひとつで4歳のマイケル(ダニエル・ラモント)を育ててきた彼は、養子縁組の手続きを行い、息子の“新しい親”を探し始める。理想の家族を求め、何組もの“家族候補”と面会をするが、人生最大の決断を前に進むべき道を見失ってしまう。そんな彼は、献身的なソーシャルワーカーとも出会い、自分の不甲斐なさに押しつぶされそうになりながらも、息子にとって最良の未来を選択しようとするが……。


Index


父親として自分ならどうするか?



Q:この物語は実際の記事から着想を得たそうですが、映画化したいと思った理由は何だったのでしょうか。


パゾリーニ:記事になった男性は彼自身が捨てられた子供だったので、頼る親戚もなく選択肢は養子縁組だけでした。もし自分が同じ状況になった場合、果たしてどうするだろうかと。養子縁組させるとして、どんな家庭だったら自分の子供を預けられるのか、そしてその判断は正しくできるのか。私にも娘が3人いますが全員無事に大人になることが出来ました。自分は恵まれた環境で子育てが出来たのだと、記事を読んで改めて痛感しました。



『いつかの君にもわかること』© 2020 picomedia srl digital cube srl nowhere special limited rai cinema spa red wave films uk limited avanpost srl.


また、記事に書かれていたのは自分が全く知らない世界のことでした。養子縁組がどんな仕組みになっているのか、どのようにして子供たちを助けているのか。今の社会では家庭における父親の役割が変わってきていますが、それがどのような影響を及ぼしているのか。そんなことにも興味が湧いたんです。


映画化することは、自分が知らなかった世界への興味であり、父親として自分ならどうするか、それを知るための道のりでもありました。




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