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『ノック 終末の訪問者』M・ナイト・シャマラン監督 これは僕の家族のドラマでもある【Director’s Interview Vol.299】

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『ノック 終末の訪問者』M・ナイト・シャマラン監督 これは僕の家族のドラマでもある【Director’s Interview Vol.299】

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撮影前に完璧なイメージを創り上げる



Q:ゲイのカップルであるエリックとアンドリューに、ゲイだとカムアウトした俳優(ジョナサン・グロフとベン・オルドリッジ)をキャスティングしたのは意図的なのですよね?


シャマラン:はい。それが僕の当初の希望でした。ただ見つかるかどうかは自信がなかったので、方針転換も視野に入れていたのです。でも幸運なことにジョナサンとベンという完璧な2人と出会うことができ、満足しています。


Q:キャスティングということでは、訪問者のリーダー格、レナードを演じたデイヴ・バウティスタがこれまでのイメージも変える演技をみせてくれます。俳優としてどのように彼を評価していますか。


シャマラン:デイヴを初めて認識したのは『ブレードランナー 2049』(17)でした。ほとんどセリフがないにもかかわらず、彼は肉体を通してキャラクターの純粋な思考とプロセスを表現しており、並のレベルではないと驚いたのです。人生のターニングポイントを迎えた人物の悟りの境地のようでした。周囲の人に「この役者は誰?」と尋ねて、名前を知ったのですが、まさかプロレスラーだったとは(笑)。こんな風に俳優の演技が心に引っかかったのは、『ブギーナイツ』(97)のフィリップ・シーモア・ホフマンや、無名時代にラブコメ作品に出ていたブラッドリー・クーパー以来ですね。「いつか大物になる」と直感でわかるんです。誰もが気づく場合もあるし、僕だけの場合もありますが。



『ノック 終末の訪問者』© 2023 UNIVERSAL STUDIOS. All Rights Reserved.


Q:キャストのジョナサンやベンが、あなたの完璧主義に驚いていました。セリフのタイミングや細かい動きなど、リハーサルから本番まですべて監督のイメージどおりに演じる必要があったと。


シャマラン:僕の映画では、撮影前にショットやカメラワークなど、すべてを完璧にデザインしておきます。このスタイルは『シックス・センス』の頃から変わっていません。俳優への演出はもちろんですが、その動きを計算して、たとえば今回なら「ここからキッチンまでは、これくらい」と距離を出し、それに従ってキャビンのセットを作り込むわけです。プロダクション・デザイーナーのネイマン・マーシャルは長年一緒に仕事をしていますから、そんな僕の無理な要求に応えてくれます(笑)。演出に合わせてセットを作る流れは『パラサイト 半地下の家族』(19)でも採り入れられたみたいですね。


Q:では、あなた自身のカメオ出演もあらかじめ決めておいたとおりに?


シャマラン:いや、そこだけは違うかもしれません。今回はキャビンという密室空間がメインなので、僕の出演は難しいと考えていました。ところが撮影直前にあるアイデアがひらめき、初日にそこをパパッと撮ったんです。その映像を編集者に託して、使用するかどうかを委ねました。うまく使ってくれて感謝しています(笑)。




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