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『ノック 終末の訪問者』M・ナイト・シャマラン監督 これは僕の家族のドラマでもある【Director’s Interview Vol.299】

© 2023 UNIVERSAL STUDIOS. All Rights Reserved.

『ノック 終末の訪問者』M・ナイト・シャマラン監督 これは僕の家族のドラマでもある【Director’s Interview Vol.299】

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もともとの楽観主義が作風に反映



Q:そのカメオ出演も含め、あなたの作品はダークで恐ろしい世界観をメインとしつつ、笑ってしまうような瞬間があったりと、どこか楽観的な空気も漂います。あなた自身の性格の表れなんでしょうか。


シャマラン:そうですね。僕はこの世界が本質的にダークでネガティヴな場所だと思っていません。むしろ慈悲深い場所です。何かうまくいかないことがあっても、心に傷を抱えても、大きな視点からすれば深刻な問題ではないと信じています。今この瞬間も、世界の終末に向けてエスカレートするような出来事が相次いでいますよね? このまま100年経ったら、僕らの世界はなくなってしまうかもしれません。同時に社会の変化のスピードもどんどん速くなっています。以前なら25年かかった考え方の変化が、僕らの娘の世代では5年で成し遂げられている気がします。そう考えると、すべては正しい方向に修正できるんじゃないかと。ですから本作でも、世界の終末に向けた時限爆弾的な要素として「われわれは方向転換に間に合うスピードで変化できるか」という問いかけを盛り込みました。手遅れになる前に、発想の転換が求められるわけですから。


Q:娘の世代ということで、前作の『オールド』に続き、今回も次女のイシャナが参加しているのですか?


シャマラン:イシャナは今回もセカンド・ユニットのディレクターを務めています。イシャナはTVシリーズの「サーヴァント ターナー家の子守」(19)でも合計で11話の脚本を書きましたし、今は初の長編監督作に取り組んでいます。彼女は、とにかくパワフルなんですよ。長女のサレカはミュージシャン(『オールド』では作曲に参加)で、2人とも自分の心のままに芸術の世界に向き合っているようです。たとえば、僕がアイデアのためなら自宅を燃やすこともしかねないと彼らは知っており、その姿勢を学んできたからでしょう。メディアなど周囲の反響など、娘たちはまったく気にしません。



『ノック 終末の訪問者』© 2023 UNIVERSAL STUDIOS. All Rights Reserved.


Q:メディアを気にするかどうかの問題で、あなたも新作のたびに何かと批評を受ける立場です。『シックス・センス』や『アンブレイカブル』(00)などキャリアの初期に作家性を確立させたゆえに、「今回はそれらを超えられたか」などと評されることをどう感じますか。


シャマラン:映像作家のキャリアをひとつのストーリーで語るのは簡単なことですし、それを見聞きする人には便利なものでしょう。ただし実際は、書かれていることの10倍は複雑です。初期の作品だけが言及されると、『ヴィジット』(15)や『スプリット』(16)がまるで決定的な作品でなかったように思われてしまう。毎回、「シャマランは戻ってきたのか?」なんて話題にされると、「じゃあ、どこへ向かえばいいの?」ってことになります。まぁ、そういう声は愛から生まれるものだとポジティヴに受け止めますが、基本的に映画を撮り始めてから30年間、外部の言葉には耳を傾けないようにしています。僕はただ、次回作の脚本を書き、仕上がったら映画を撮る。それだけですから。


Q:その次回の公開は2024年の4月と決まったそうですね。


シャマラン:『オールド』『ノック』と原作モノが続いたので、オリジナルの企画が渋滞中です(笑)。散歩したり、休暇で旅をしたり、あるいは一人でバスケのシュートをしてる時なんかに新作のアイデアがひらめくので、つねにワクワクしてる感じですね。次回作は僕にとっても「こういうタイプのストーリーもありだな」という新鮮なもので、当初は誰かに監督を任せようと考えていましたが、ずっと頭の中から離れないので「もういいや、自分でやろう」と決心しました(笑)。問題は脚本を早めに完成させられるかどうか。なんとか4月に間に合わせたいです。




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監督・脚本・製作:M.ナイト・シャマラン



取材・文:斉藤博昭

1997年にフリーとなり、映画誌、劇場パンフレット、映画サイトなどさまざまな媒体に映画レビュー、インタビュー記事を寄稿。Yahoo!ニュースでコラムを随時更新中。





『ノック 終末の訪問者』

4月7日(金)より全国ロードショー!

配給:東宝東和

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