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『ガール・ピクチャー』アッリ・ハーパサロ監督 映画の中のように世の中が良い方向に向かえば【Director’s Interview Vol.302】

© 2022 Citizen Jane Productions, all rights reserved

『ガール・ピクチャー』アッリ・ハーパサロ監督 映画の中のように世の中が良い方向に向かえば【Director’s Interview Vol.302】

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大人と子供の境目を表現する



Q:物語の中盤、Julie London の曲「I'm In The Mood For Love」が流れます。意表を突かれた選曲でしたが、これがとてもよくハマっていました。


ハーパサロ:エマとミンミの二人が車の中で惹かれ合うシーンと、ロンコが男の子と親密になるサバイバルゲームのシーンをカットバックさせて、その曲を使いました。10代ならではの子供っぽい戯れのような親密さと、大人なジャズの調べとの対比が面白いと思ったんです。


また、シーンを作っていく上で視覚的に大事にしたのが時間帯でした。ちょうど夕暮れから夜になる境目の時間を使うことで、子供でもあり大人でもある境目をビジュアル的に表現したかった。音楽も同じコンセプトを持っていて、Julie Londonの大人っぽい曲が流れる一方で、子供っぽいサバイバルゲームをやっているシーンを組み合わせることにより、大人でも子供でもない、その間の空気感を表現したかったのです。



『ガール・ピクチャー』© 2022 Citizen Jane Productions, all rights reserved


Q:青春時代をとうに過ぎた大人たちが観ても共感し感動する部分があります。その理由はどこにあるのでしょうか。


ハーパサロ:マーケターはこの作品を10代向けの映画と捉えるかもしれませんが、私は10代だけに向けた映画だとは思っていません。私たちはいくつになっても成長を繰り返しています。青春時代はいろいろ悩みますが、ある日ハッと悩みが解決して大人になるわけではない。常に壁に当り、悩み、自分自身について考え、そして成長していく。登場人物の成長には、年齢や性別に関係なく皆自分を重ねる部分があるのではないでしょうか。観客が登場人物に自身を重ね「自分も同じように頑張っている」と温かい気持ちになって欲しい。そんな思いを込めてこの映画を作りました。




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監督:アッリ・ハーパサロ

1977年生まれ。フィンランド出身の監督・作家。ニューヨーク大学ティッシュ芸術 学校で芸術修士号、アールト大学の映画学科でテレビと背景美術の学士号を取得し、2016年にデビュー作『Love and Fury』で、自分自身の主張を見いだしていく女性作家の姿を描いた。2019年には、7人の脚本家と監督が製作した、ジェンダーバイアスと構造的な権力の誤用について描かれた『Force of Habit』に参加。この作品は世界で高く評価され、ユッシ賞(フィンランド・アカデミー映画賞)の作品賞、監督賞、脚本賞にノミネート。さらに2020年には北欧理事会映画 賞を受賞した。3作目の長編映画である『ガール・ピクチャー』でも、強い女性を主 人公とした作品を作り続けることに力を注いでいる。



取材・文:香田史生

CINEMOREの編集部員兼ライター。映画のめざめは『グーニーズ』と『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』。最近のお気に入りは、黒澤明や小津安二郎など4Kデジタルリマスターのクラシック作品。





『ガール・ピクチャー』

4月7日(金)より新宿シネマカリテ、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国順次公開

配給:アンプラグド  

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