『search/#サーチ2』ニック・ジョンソン&ウィル・メリック監督 TikTokやインターネットの革新を映画に反映する【Director’s Interview Vol.303】
『search/サーチ』の続編として
Q:ちょうど原案の話題が出ましたが、セヴ・オハニアンさんとアニーシュ・チャガンティさんによる原案と、お二人の執筆した脚本、そして完成した映画にはどれくらいの違いがあるのでしょうか?
ウィル:原案を渡されたのは『RUN/ラン』が完成する直前で、その時すでに全体のストーリーはありましたし、それぞれのシーンの概要や、そこでキャラクターが体験することも詳しく書かれていました。あとから構成を一部変更したり、内容を膨らませたりと変更を加えていますが、原案の内容はほとんど変えていません。キャラクターの核となる部分やストーリー、どんでん返しの数々は原案通りです。2人(セヴ&アニーシュ)は『search/サーチ』の脚本だけでなく編集にも携わっているし、ストーリーテリングやサスペンスの扱い方はさすがのもの。素晴らしいストーリーに取り組むことができて嬉しかったです。
Q:ちなみに、お二人が膨らませた部分はどのあたりだったのでしょうか?
ウィル:それほど多くはないのですが、パーティーのシーンはそのひとつ。原案には「パーティーが開かれる」としか書かれていなかったので(笑)、どのように見せようか、PC画面越しにどう描こうかと考えるのは楽しかったですね。もうひとつ、グレイスの仕事仲間に関係する場面も原案からかなり膨らませました。
ニック:ある時点で挿入される回想シーンも僕たちが膨らませた部分です。回想シーンは原案には存在しなかったのですが、エモーショナルかつ、観客がスッキリできる場面にしたいと思いました。
ウィル:そうだった。回想を入れなければいけないと思ったんですよ。とにかく、僕たち二人ともあらゆる箇所で自問自答していました。台詞はすべて僕らが書いたものですし、しかも視覚的にクールで面白くなるように物語を語らなければいけませんから。
Q:前作『search/サーチ』と比較すると、本作は構造やストーリーの面でいくつも共通点があります。おそらく意図的な選択だと思ったのですが……
ウィル:はい。ちゃんと『search/サーチ』の続編らしい映画にしなければ、と思ったので意識的にそうしました。前作のキャラクターを登場させるつもりはなかったので顔ぶれは一新しましたが、アンソロジー的な続編として、物語をわざわざ似せているんです。
ニック:ソニー・ピクチャーズからセヴとアニーシュ、ナタリー・カサビアン(プロデューサー)に続編の打診があった当初から、本作は『search/サーチ』の精神的続編になる計画だったと思います。アンソロジー的な、物語としては独立した続編を作る以上、前作の焼き直しではいけないし、トーンを大幅に変えてもいけない。細やかなバランス感覚がなければ続編としては失敗です。だから僕たちは、作風的にも構造的にも危ない橋を渡っていたことになりますね(笑)。目指したのは、前作を観た人の予想を裏切りつつ、前作を観ていなくても映画館できちんと楽しめる映画。前作を観ている方なら、最初こそよく知っている雰囲気ですが、きっと途中で裏切られると思いますよ。