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『search/#サーチ2』ニック・ジョンソン&ウィル・メリック監督 TikTokやインターネットの革新を映画に反映する【Director’s Interview Vol.303】

『search/#サーチ2』ニック・ジョンソン&ウィル・メリック監督 TikTokやインターネットの革新を映画に反映する【Director’s Interview Vol.303】

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全編PC画面で展開する驚愕のサスペンス、『search/サーチ』(18)から5年。ストーリーと登場人物を一新した続編『search/#サーチ2』は、高校生の娘・ジューンが失踪した母・グレイスを捜索する物語だ。パソコンやスマートフォンを使いこなすZ世代が主役とあって、映画のコンセプトや映像感覚は劇的に進化した。「全編PC画面」の進化形とも言うべき本作の監督・脚本は、前作の編集を手がけたニック・ジョンソン&ウィル・メリック。まさに“映像のスペシャリスト”である2人に、その大胆かつ野心的な創作の秘密をたっぷりと聞いた。


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進化形「全編PC画面」の作り方



Q:本作は「スクリーンライフ」という手法の映画で、全編がパソコンやスマートフォン、カメラの画面などで構成されています。膨大な映像素材を、どのようにしてひとつの物語や映画の形に構築したのでしょうか?


ウィル:おっしゃる通り、この映画の撮り方や見せ方にはたくさんの選択肢がありました。けれど必要なことは、自分たちが求めるものを正確に作り上げること。実際には、おそらく皆さんが想像するよりも映像素材は少ないんですよ。撮影に入る前に、27週間ほどかけて映画全編のビデオコンテをあらかじめ作っておいたんです。だからセットに行く時点では、自分たちのやるべきことがはっきりわかっていました。


ニック:僕たちはビデオコンテを計画表のように使っていました。スタッフに見せることもあれば、時には俳優に見せることもあり、そうすると彼らも自分の役が見ているものが正確にわかる。ビデオコンテのおかげでロケハンの時点でも必要なロケーションをきちんと把握できていたし、撮影中もその日に撮り終えるべき範囲がわかっていたんです。




Q:PC画面に配置されたウインドウのレイアウトや通知のタイミングもあらかじめ決まっていたのでしょうか?それとも編集段階で変更したところもあったのでしょうか?


ウィル:編集で変更したところもあります。映画というものは、あらゆる意味で編集を通して作り上げられるもの。タイミングは編集担当のオースティン・キーリングとアリエル・ザコウスキーが決めてくれた部分も多いですね。説明が難しいのですが、まずはざっくりとしたスクリーンショットから作業を始めて、いろんな要素をあれこれと足し引きしていくと、だんだん、ゆっくりとタイミングが決まってくる。その後でアニメーションが決まるわけですが、細部が固まるまで、すべてを入れ替え続けていました。


ニック:とはいえ、After Effectsの作業に入るとタイミングを変えることはできません。できるのはほんの微調整だけで、たとえばカーソルがまっすぐに動いていたところを、ほんの少し止めてからまた動かすようにするとか。ちょっとした「間」をいじる程度ですね。


Q:劇中の画面は、全体の何割くらいが実際のPCやスマートフォンの画面なのですか?


ニック:映画に出てくるPC画面のうち、実際の画面を録画して使用したシーンはまったくありません。すべてはPhotoshopやIllustratorで描かれ、PremiereとAfter Effectsでアニメーション化したものです。俳優が出ているビデオの映像以外は、ほとんどアニメーション映画みたいなものなんですよ(笑)。グラフィック・アーティストのチームが作ったものを、編集担当のオースティンとアリエルがPremiereで編集して、最後にウィルと僕がAfter Effectsでアニメーションにしています。




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