伊参スタジオ映画祭でシナリオ大賞を受賞した、短編映画『冬子の夏』。脚本は新進気鋭のシナリオライター煙山夏美、監督は広告界のエース・CMディレクター金川慎一郎。本作は国際短編映画祭『ショートショートフィルムフェスティバル&アジア 2023』に見事入選。6月に開催される同映画祭にて劇場上映およびオンライン配信が予定されている。
煙山と金川は実は高校の同級生。学生時代はそれほど面識のない二人だったが、シナリオ大賞を受賞した『冬子の夏』をぜひ監督してほしいと、煙山から金川宛に突然の連絡があったという。普段はCMディレクターとして第一線で活躍している金川だが、映画の監督は未経験。金川は本作に何を見出し監督を手がけることになったのか。話を伺った。
『冬子の夏』あらすじ
高校最後の夏。進路を決められないまま、ダラダラと過ごす主人公・冬子(豊嶋花)。そして唯一の理解者である親友・ノエル(長澤樹)。進学するのか、しないのか。この街を出るのか、出ないのか。騒がしい周囲に反するように、あえてのらりくらりと日々を送る二人だったが、行く末を定めつつあるノエルの様子に、苛立ちや焦りを募らせる冬子。行き着いた満開のひまわり畑で、二人は大きな岐路を迎えるーーー。
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同級生からの突然の監督依頼
Q:本作のきっかけは、伊参(いさま)スタジオ映画祭でシナリオ大賞を受賞した煙山夏美さんからの監督依頼だったそうですが、煙山さんは高校の同級生だそうですね。
金川:同級生でしたが煙山さんとはほとんど面識はありませんでした。それが突然「映画祭で脚本賞のグランプリを獲ったので、映像化をお願い出来ないですか?」と、交換したこともないLINEから連絡が来たんです。実はちょうどコンテンツを作りたいと思っていて、社内で企画をすすめていたところでした。そんなタイミングでの話だったので「だったらこの話に乗ろうかな」と。
『冬子の夏』©2022『冬子の夏』製作委員会
Q:煙山さんは普段はテレビ番組やドラマのお仕事をされていますが、なぜCMディレクターの金川さんにお声がけされたのでしょうか。
金川:かなり低予算だったので、仕事としてプロに頼むことが出来なかったそうです。これは知り合いにお願いするしかないと。それでツテをたどって僕にたどり着いた。「広告業界で仕事してるみたい」と噂を聞いたらしいです。