『THE WITCH／魔女　ー増殖ー』シン・シア×阪元裕吾スペシャル対談　監督もぜひ韓国で作品を撮ってください！【Director’s Interview Vol.316】

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2023.05.25香田史生

韓国映画とバイオレンス

阪元：本作やマ・ドンソクの『犯罪都市 THE ROUNDUP』（22）など、グローバルを意識したブロックバスターのアクション映画でも、突然ナイフで刺し合ったりするシーンが韓国では出てきますよね。韓国映画にはバイオレンスが下地にあると思うんです。一方で日本は、アニメの方がヒットしやすい国ですし、俳優さんの中でもホラーやバイオレンスが苦手という方も多い。だから韓国でバイオレンスが受けるのはすごく羨ましいです。バイオレンスに対する抵抗はないですか？

シン・シア：それはまったく考えたことがないですね。ストーリー的に必要だから（バイオレンスが）出てくるのであって、それがバイオレンスかどうかは意識したことはありません。もしよければ阪元監督もぜひ韓国で作品を撮ってください。そのときは私が主演でお願いします（笑）！

『THE WITCH／魔女　ー増殖ー』主人公の少女役シン・シア

阪元：ありがとうございます！ムッチャ撮りたいです！いやぁすごいですね。やっぱり感覚が違うんですね。日本は血が出るだけでみんな嫌がります（笑）。

シン・シア：私も血が出るのは怖いです（笑）。

Q：それぞれが思う『THE WITCH／魔女』シリーズの魅力を教えてください。

シン・シア：やはり世界観が広いところが魅力ですね。パク・フンジョン監督は、もっとたくさんの物語を準備しているそうです。そう考えると期待感もすごく高まってくる。そこも魅力の一つだと思います。

阪元：なるほど！次の「3」では姉妹ゲンカとか観たいですね。1時間半ぐらいずっと二人がケンカして、最後に仲直りするという（笑）。戦うだけじゃなくてちゃんと口ゲンカもしてほしいです（笑）。そうやってコメディとバイオレンスが、がっつり調和してるのが魅力ですよね。もちろんバトルも大好きですが、スーパーで試食をつまみ食いするようなところも好きなんです。

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シン・シア

1998年5月12日生まれ。本作が初めての長編映画出演作。3度にも及ぶオーディションと5回以上の監督のミーティングを行い、1408人の中から魔女に抜擢された新鋭シン・シア。子どものような純粋さと破壊的な力を併せ持つ、危険で繊細な精神を見事に表現した。“平凡な高校生だったジャユンとは違い、少女はこの世から隔離されて生きてきたので、感情表現を持たないんです。表情の変化を大きくつけられないので、目で多くを物語るよう努力をしました” と、絶えず鏡とセルフカメラを見ながら、少女の表情を作るために努力したという。新鮮で神秘的なシン・シアという新たなスターに韓国映画界の期待が高まる。

阪元裕吾（映画監督）

1996年生、京都府出身。20歳で発表した『ベー。』で「残酷学生映画祭2016」のグランプリを受賞。ウルトラ暴力映画『ハングマンズ・ノット』では「カナザワ映画祭2017」で期待の新人監督賞と出演俳優賞のダブル受賞。パン屋を舞台にしたブラックコメディ『ぱん。』では「MOOSICLAB」で短編部門グランプリ、「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭」で短編コンペティション部門グランプリ、「プチョン国際ファンタスティック映画祭」で審査員特別賞を受賞し、大学在学中に圧倒的な暴力描写で自主映画界を席巻。『ファミリー☆ウォーズ』(18)で商業デビュー後、『ある用務員』(20)、『黄龍の村』(21)、『最強殺し屋伝説国岡[完全版]』(21)、『グリーンバレット』(22)を発表し、『ベイビーわるきゅーれ』(21)で日本映画批評家大賞・新人監督賞を受賞するなど、今最も勢いのある映画監督である。

取材・文：香田史生

CINEMOREの編集部員兼ライター。映画のめざめは『グーニーズ』と『インディ・ジョーンズ　魔宮の伝説』。最近のお気に入りは、黒澤明や小津安二郎など4Kデジタルリマスターのクラシック作品。

撮影：青木一成