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『リバー、流れないでよ』原案・脚本:上田誠 パズルを組み上げるようにつくる脚本術【Director’s Interview Vol.324】

『リバー、流れないでよ』原案・脚本:上田誠 パズルを組み上げるようにつくる脚本術【Director’s Interview Vol.324】

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なぜ“2分”なのか?



Q:『ドロステのはてで僕ら』も今回と同じく2分という時間で区切られていましたが、なぜいつも“2分”なのでしょうか。


上田:小さくてチャーミングなものを作るのが好きなんです。「サマータイムマシン・ブルース」のときも、“昨日に行く”といった狭いレンジの中で作り込むことが面白かった。“2分”というミニマムな時間も、割と作り込みが出来る尺なんです。


Q:しかもその2分間はずっと長回しが続きます。


上田:それは僕らが劇団だからです。劇団員が映画を作るときには劇団ならではのアドバンテージを。ということで長回しにしています。また、2分という時間を実時間として感じてもらうためにも、長回しは体感的に良いんです。



『リバー、流れないでよ』© ヨーロッパ企画/トリウッド 2023


Q:2分きっかり長回しで撮るというのは、撮影現場において結構なハードルではないでしょうか。


上田:そうですね。2分きっかりで終えないといけないのですが、いつもタイムキープしてるわけではありません。撮り終えて「あ、2分10秒でした...。やり直し!」といった感じです(笑)。でも俳優ってすごくて、何度かやっているとそれなりに尺が安定してくるんです。また、そのルールを愚直に守ることで「2分って、長く感じたり短く感じたり色々だな」「2分でもこれだけのことが出来るんだな」という気づきが出てくる。同じように、観客の皆さんにも時間の可能性を感じてほしいですね。


Q:2分の間に色々と動き回りますし、雪のシーンもあったりして撮影は大変そうですね。


上田:カットをたくさん割って作る作品もありますが、その場合、素材を撮るという“作業”に陥りやすい。一方で長回しの場合は、現場がお祭りみたいになるんです。うまくいくかどうか毎回ドキドキしながらヨーイドンで撮っていく。僕らはまだまだ映画の素人で、撮影は文化祭みたいな感覚がある。だったらプロがやってない方法でやった方がいいかなと。世の中にはめちゃめちゃ面白い映画がたくさんあるから、そこを追いかけても追いつかない。だったら自分たちしか掘れない道を歩んでみようと。





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