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『キャロル・オブ・ザ・ベル 家族の絆を奏でる詩』オレシャ・モルグネツ=イサイェンコ監督 ウクライナを忘れないで【Director’s Interview Vol.331】

©︎MINISTRY OF CULTURE AND INFORMATION POLICY OF UKRAINE, 2020 – STEWOPOL SP.Z.O.O., 2020

『キャロル・オブ・ザ・ベル 家族の絆を奏でる詩』オレシャ・モルグネツ=イサイェンコ監督 ウクライナを忘れないで【Director’s Interview Vol.331】

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第二次大戦下のポーランドのスタニスワヴフ(現ウクライナ、イヴァーノ=フランキーウシク)は、ソ連、ナチス・ドイツ、そして再びソ連と、戦時中ずっと侵攻を受け続けた地域。そこの一つ屋根の下で生活する、ウクライナ、ポーランド、ユダヤ人の3家族が、戦争という理不尽な暴力に晒されながらも、子どもたちを守り生き抜こうとする物語。それが『キャロル・オブ・ザ・ベル 家族の絆を奏でる詩』だ。


オレシャ・モルグネツ=イサイェンコ監督がこの作品を作り上げたのは、ロシアがウクライナに侵攻する前の2021年のこと。まさかその後、映画で描かれたような戦争が現実に起こってしまうとは……。このインタビューは、ウクライナ・キーウ在住の監督とオンラインで実施されたが、戦火が激しくインタビューが延期になるという事態も起こったほど。今まさに戦争が起こっていることを痛感させられる出来事だった。


戦禍のイサイェンコ監督は今何を思うのか?話を伺った。



『キャロル・オブ・ザ・ベル 家族の絆を奏でる詩』あらすじ

1939年1月、ポーランドのスタニスワヴフ(現ウクライナ、イヴァーノ=フランキーウシク)にあるユダヤ人が住む母屋に店子としてウクライナ人とポーランド人の家族が引越ししてくる。ウクライナ人の娘ヤロスラワは音楽家の両親の影響を受け歌が得意で、特にウクライナの民謡「シェドリック」=「キャロル・オブ・ザ・ベル」は、歌うと幸せが訪れると信じ、大事な場面でその歌を披露する。第2次大戦開戦後、ソ連による侵攻、ナチス・ドイツによる侵攻、再度ソ連によって占領される。ポーランド人とユダヤ人の両親は迫害によって離され娘たちが残される。ユダヤ人の娘ディナ、ポーランド人の娘テレサの3人の娘たちをウクライナ人の母であり歌の先生でもあるソフィアが必至に守り通して生きていく。戦況は悪化し、子どもたちを連行しようとソ連軍が家探しを始めるが、ソフィアが機転を利かせて最悪の事態は免れる。ナチスによる粛清によってウクライナ人の父の手に及び処刑されてしまう。残されたソフィアは、ウクライナ人である自分の娘、ポーランド人の娘、ユダヤ人の娘に加えて「この子には罪はない」と言ってドイツ人の息子を匿うことになるのだった…。


Index


ロシアとウクライナの争いに終止符を



Q:戦争への後悔と反省が多くの映画で訴えられてきましたが、21世紀になった今、また同じ過ちが繰り返されています。まさに戦禍の只中にいるイサイェンコ監督ですが、この現状をどのように感じていますか。 


イサイェンコ:この戦争で、ロシアとウクライナの争いが最後になることを望んでいます。過去300年に渡り、ロシアはウクライナへの攻撃と支配を繰り返してきましたが、これでもう終わりにしてほしい。ウクライナはキエフ・ルーシの時代から存在している事実を、ロシアは受け止めるべきです。ロシアがウクライナを作ったのではなく、ロシアはウクライナから由来しているのです。



『キャロル・オブ・ザ・ベル 家族の絆を奏でる詩』©︎MINISTRY OF CULTURE AND INFORMATION POLICY OF UKRAINE, 2020 – STEWOPOL SP.Z.O.O., 2020


また、ロシアに限らず全ての国は他の国と戦っている場合ではありません。人類が戦うべき相手は地球温暖化です。領土の奪い合いをするのではなく、この人類全体の問題に立ち向かうべきなのです。





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