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「警部補ダイマジン」三池崇史監督 ベストを目指したカットはつまらない 【Director’s Interview Vol.339】

「警部補ダイマジン」三池崇史監督 ベストを目指したカットはつまらない 【Director’s Interview Vol.339】

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役柄とは人間について語ること



Q:漫画のキャラクターの映像化について、どんなことに気をつけましたか。


三池:今回の主人公の見た目的なことでいうと、無骨であんな顔した俳優がいるわけない中、そこを生田斗真が演じるというのは、かなり挑戦的なことだと思います。生田斗真自身、漫画のテイストに寄せてきているし、主人公をリスペクトしている。出で立ちでいうと白いコートを着ていますが、普通ダークヒーローって悪事を働くときはもっと目立たない服だろうって(笑)。


あとは生田斗真が本来持っているイメージを、そのまま生かさせてもらっている部分もあります。(主人公が)今起こした行動が善であるか悪であるか問われると、生田斗真がやっていることによって、その裏にはきっと何かあるんだと語らず感じさせることができる。そこはやっぱりすごいところだなと。


また、向井さんとの、変則的な、不完全な壊れたバディものみたいな感じはもうピッタリで、二人とも楽しんでましたね。向井さんもいろんなキャラクターを研究していて、模倣するところから始まり色々と取り入れていく。面白い役作りをする人だなって思いました。



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Q:キャラクターは役者さんが作ってくるものなのでしょうか。それとも監督から具体的に注文されているのでしょうか。


三池:役柄というのは人間について語ることなんです。衣装合わせのときに役者さんと話すタイミングはありますが、撮る前から彼(この役)はこういう人間だからこう描く、と言うのは、あまりにもフィクションすぎるなと。架空の人物を自分の中でイメージを固めて、この人ってこういう人なんですよと語れることが、(監督に)本来求められるのかもしれませんが、自分の中ではどうもライブ感がない。赤の他人を分かったようなふりして、高見から見下ろしてキャラクターを作っていくみたいな気がするんです。自分はいつも役者と同じ目線か、もしくはリスペクトしているスタンスで、役者の思いを聞きながら作っている。そうやって削ぎ落として、炙り出していくという作業をしているだけ。あと役者さんによってタイプはいろいろで、納得するまで話し合わないと役が掴めず、現場で不安になるという人もいるんですけどね。


そこへいくと、向井さんなんかは百戦練磨。向井さんなりの読み方と解釈で、自分が求められているものをすごく理解しているわけです。こちらがやることといえば「こうやったほうが俺は面白い」っていう場所を提供して、空気を作るというだけ。生田くんの場合はもっと単純で「(今回は『土竜の唄』と違って)服着てるだけ良かったね」みたいな(笑)。何といっても人殺しの役なので、いくら偉そうなことを言っても通用しないし否定されてしまう。そこを生田斗真は見事にクリアするわけです。その辺が面白くてすごいところ。いわゆるアイドルでもあり役者でもありということも、一つの武器だと思うんです。きっとそういう人は何かを打ち破りたいと思っている。もちろん役者としての思いはあるんでしょうけど、非常に雑念なくシンプルに才能を提供している。だからほとんど役作りについて会話をする必要がないし、そもそも会話で理屈を話すというのが自分の中でも受け入れられないし、人にも押し付けることもないんです。




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