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「警部補ダイマジン」三池崇史監督 ベストを目指したカットはつまらない 【Director’s Interview Vol.339】

「警部補ダイマジン」三池崇史監督 ベストを目指したカットはつまらない 【Director’s Interview Vol.339】

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ベストを目指したカットはつまらない



Q:映画とドラマで撮影方法を変えた部分はありますか。


三池:基本的には映画と一緒です。1台のカメラで役者もスタッフも一つのアングルに集中して撮っていく。余分なカットはなくて、予め頭の中でシュミレーションした編集通りの、必要最低限の画を捉えていきます。


Q:予めシミュレーションされているということは、監督の頭の中である程度画は固まっているのでしょうか。


三池:台本を読んだときに、表情やアングルというのは誰でも浮かんでくると思うんです。それら断片的なものをつないでいく。そこをより効果的に気持ち良く見せる“間”を考えていると思うのですが、あんまり理屈や論理では説明できな。何故かそうしたいと思っているんです。そこにはなにか理由があると思うのですが、自分の中ではあえて追求しません。本来ベストを目指すべきなんでしょうが、ベストを目指したカットの連続ってなんかつまんない感じがするんです。例えば急に土砂降りになったりとか、なんかアクシデントが起こったときに、そのマイナスの部分をパワーにして撮影を続行していくと、面白い画が撮れていたりする。後々海外の映画祭などで「あのシーンが面白かった」とか「印象深かった」と言われるのは、結果的に予期せぬ出来事が起こっているときに撮ったシーンが多いんです。


ただし、カット割りは行ってその場で考えます。ロケ場所の陽の差し方や窓の感じとか、その前の芝居とか、役者がその場に立った感じとか、そういうものによって、直感的に「こう行こう!」とその場で決めていく感じです。だからある意味、不安定なのかもしれない(笑)。



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Q:お話を伺っていると、編集用に色々と撮っておこうという感じではなさそうですね。


三池:気持ちの中にそういう余裕がないんです、時間の余裕もないしね。いろいろ撮るよりも、いいなというものを1個、出来るだけシンプルに撮れて結果的にいい画になるという。やはり究極でいうと…、“三池崇史の作品”とかって言われると、作品に対して悪いなぁと感じてしまうので、実は演出家なんていないように見えるのが一番なんですよね。自分らしさとは何か?などは一切ない。


精一杯やっているので、使うかどうかわからないカットを撮ってる余裕もないし、撮る気にもならない。その力がどこかにあるなら、必要なものを違う形で撮っていくと思うんです。例えば、韓国に行って韓流ドラマを撮るときは向こうのやり方に合わせるし、そのときはカメラはたくさんあるんだけど、結果1台で撮ってることが多かったです。だからそんなにこだわりはないですね。たくさんで撮ってみるというのも面白いだろうし、いいところもあるだろうと思う。ただ我々はそうしなくて、そうしない方が現場を進行しやすい。それは正しいとか正しくないとかの話ではないんです。本当はいろいろなやったことのないことはやってみたいと思うんですけどね。




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