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「わたしと、私と、ワタシと、」松岡芳佳×大森歩×金川慎一郎 CMディレクターが生み出した3つの短編映画たち【Director’s Interview Vol.347】

※向かって左より大森歩監督、松岡芳佳監督、金川慎一郎監督

「わたしと、私と、ワタシと、」松岡芳佳×大森歩×金川慎一郎 CMディレクターが生み出した3つの短編映画たち【Director’s Interview Vol.347】

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CMと短編映画、制作の違い



Q:依頼を受けて作るCMと、自分で一から考えて作る短編映画、それぞれ感じた違いがあれば教えてください。


金川:長編は自由で面白いという話をよく聞きますが、僕は逆でした。映画では監督が現場で全てを判断していきますが、CMでは監督以外にもクライアントやクリエティブディレクターなど、いろんな人が現場で意見を言いあう。そうやっていろんな人の知恵が集まることは、ものを作るという意味では、実はとても恵まれているのかなと。それに気づいたことがショックでもあり、改めてCMっていい現場なんだなと思いました。


大森:映像を作るときに、誰が一番マジでやっているかという違いですね。CMはクライアントがまず「こうしたい!」と思っていて、そこにお金が発生し色んな人が責任を持って作っていくもの。一方で映画は、誰に言われるわけでもなく自分で作るもの、だから自分自身が本気で「こうなんじゃい!」って思って作らなければ、見るとすぐバレちゃう。それが本当に怖かったので、脚本も3〜4ヶ月くらいずっと弄り倒してました。


自分が初めてCMの企画を作ったときは、それを人に見せることほど恥ずかしいことはないと、震えながら企画書を出したものですが、短編映画を作った時の恥ずかしさはそれ以上でした。人前でパンツを脱ぐような感覚がありました。


松岡:今回の制作費はほぼ自分で出していて、出演者やスタッフへの打診もほぼ自分から。そこが大きな違いでした。深川麻衣さんと古舘寛治さんへはお手紙を書いて出演をお願いし、カメラマンの岡村良憲さんへも緊張で震えながら電話しました。自分のやりたいことがベースにあって、それを皆に協力してもらい一緒に作ってもらうためには、「あなたと一緒にやりたいんです!」と思いを伝えて口説く必要がある。それはすごく難しかったですね。また、お金はないけど画は妥協したくないという、そこのせめぎ合いも大変でした。プロデューサーの村地には色々無理言ったと思っています(笑)。



『ただの夏の日の話』Watashi-Films© All rights reserved


Q:CMで培ったものが生かせたことはありましたか?


金川:低予算の短編映画でしたが、スタッフが一流だった。それはCMをやっていたからこそですね。今回の撮影監督は笠松則通さんでしたが、普通はなかなか頼めない。笠松さんとはCMのお仕事でご一緒した経験もあり、すでに関係性が出来た上で撮影を始めることが出来ました。それはすごいメリットだと思いますね。


松岡:CMは短い尺の中で多くのことを伝える必要があり、これまでそのトレーニングをやってきたことが生かせたと思います。そのおかげで、気持ちの微妙な変化をキュッと詰め込むことが出来た。映画のプロデューサーから「CMでやってきたことを全部捨ててこい!」と悔しいことを言われることもありますが、絶対捨てたくないですね。


大森:CM監督をやると人の意見を聞く性格に仕上がってることでしょうか。でも人の意見を聞かない方がいいこともあるので、良いことなのか悪いことなのかわからないです。





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