※向かって左より大森歩監督、松岡芳佳監督、金川慎一郎監督
「わたしと、私と、ワタシと、」松岡芳佳×大森歩×金川慎一郎 CMディレクターが生み出した3つの短編映画たち【Director’s Interview Vol.347】
リードしてくれた役者たち
Q:出演された役者の皆さんの印象はいかがでしたか?
大森:当時、古川琴音さんはユマニテの研修生で、これがまだ映像作品2本目の出演でした。初めて会ったときのことですが、古川さんは約束の20分前くらいに弊社に来てくださり、廊下の椅子に座っておにぎりを食べていました。「古川さんですか?早いですね」と声をかけたら、「わたし方向音痴なので、初めてのところに行く時は早く来ないとダメなんです。でもお昼ご飯はお昼に食べたいから、こんなところで食べてすみません」と、ほっこりした感じでお返事してくれたんです。その後、いざ打合せを始め本読みをお願いしたところ…、もう完璧にアミになっていた。一言セリフを言っただけで分かるんです。この人は本物だなと、是非お願いしますという感じでした。今やすごい女優さんになって、嬉しいような寂しいような…結局、嬉しいです(笑)。
『春』Watashi-Films© All rights reserved
金川:豊嶋花さんと長澤樹さんは、テレビドラマなどで気になっていた二人でした。どんな演技をするか何となく想像はついていましたが、現場に入ってから二人とも想像以上にお芝居が伸びた印象があります。リハーサルとは全然違う感じで表情や間合いを作ってくれました。二人とも共通の趣味があり、撮影の合間に仲良くなったのも良い効果につながったと思います。
松岡:深川麻衣さんの出演されている映画は拝見していて、セリフの裏側を感じさせてくれる方だなと思っていました。私の「一緒に仕事をしたい人リスト」に入っていて(笑)、深川さんの写真を見ながら脚本を書いていたくらいです。おじさん役は、この特殊な状況の中でも「気持ち悪すぎない、怖すぎない」ということがすごく重要で、古舘寛治さんは私の中でドンピシャでした。古舘さんは作品と役への愛がすごく強く、「言葉は反射だから、脚本を読むのは何の意味もない。セリフを覚えてなくてもいいから相手の目を見て話そう」と、本読みは古舘さん方式で進めていきました。現場でも沢山ご指南いただき、私への指導モードに入る瞬間が何度かありました(笑)。二人ともコミュニケーションをたくさんとってくれたので、とてもやりやすかったです。