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『ジョン・ウィック:コンセクエンス』チャド・スタエルスキ監督 観客に主人公の試練を体感してほしかった【Director’s Interview Vol.355】
スタントドライバーは50人。使用したパイロンは5,000本
Q:今回は上映時間もシリーズ最長で、多くのアクションシーンが用意されています。これは意図的なのですか?
スタエルスキ:この4作目は、ちょっと長めの作品にしたかったのです。インスパイアされたのはギリシャ神話のシーシュポスの話で、死を2回逃れた彼は、大きな岩を山頂まで押し上げる永遠の苦行を課せられました。ジョン・ウィックは3回も死を回避してきたので、その試練、徒労感を映画を観る人にも感じてほしい。そこがこの長さの狙いでした。
Q:特に長尺が使われ、見応えたっぷりなのが、パリの凱旋門周辺でのシークエンスです。いったいどうやったら、あんな複雑なアクションが完成されるのか想像もつきません。
スタエルスキ:あの凱旋門でのシーンは、本作で最も過酷で、時間もかかりました。人間同士の戦いは小さな部屋でもリハーサルが可能ですが、車を使用すると大がかりな準備が必要なのです。スタントドライバーを世界中から50人集め、200人の通常のドライバー、2人のカメラマン。俳優はキアヌとマルコ・ザロール。さらに犬まで演出するわけですから、本当に(日本語で)ムズカシイ。誰かのちょっとしたミスが、危険な結果に繋がるので、綿密な練習を重ねなければいけません。まず車と人間の動きを完成させ、そこに大型のバスが入ってくる。そのような積み重ねで全体のアクションシークエンスが構築されるまで4ヶ月かかりました。
『ジョン・ウィック:コンセクエンス』®, TM & © 2023 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.
Q:世界から集まったスタントドライバーということで、統率も大変だったのでは?
スタエルスキ:今回のスタントチームは多国籍で、英語、日本語、ドイツ語、ブルガリア語、フランス語、中国語が無線で飛び交っていました(笑)。たとえば「イチ、ニ、サン」とか聞こえてくるわけです。ですから誰にもわかりやすいように、赤、青、黄色など色分けした5,000本のパイロンを用意し、たとえば「キアヌは青のパイロンのラインを進んで」などと指示しました。車もキアヌも、そして犬もそうやって動きを確認するわけです。いちばん重要だったのは、キアヌがバスに轢かれないことでしたけど(笑)。