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『ジョン・ウィック:コンセクエンス』チャド・スタエルスキ監督 観客に主人公の試練を体感してほしかった【Director’s Interview Vol.355】

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『ジョン・ウィック:コンセクエンス』チャド・スタエルスキ監督 観客に主人公の試練を体感してほしかった【Director’s Interview Vol.355】

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キアヌ・リーブスの当たり役となった「ジョン・ウィック」もシリーズ4作目。前3作での壮絶な運命を経て、組織から追われる立場となった伝説の殺し屋が、ついにひとつの決着を迎えるのか? シリーズの集大成ともいえるこの最新作は、真田広之やドニー・イェンといった共演陣、メインの舞台のひとつが大阪など話題づくめだ。


1999年の『マトリックス』でアクション・コーディネーター、およびキアヌのスタントマンを務めたことで彼と固い絆で結ばれ、「ジョン・ウィック」全作を監督してきたのがチャド・スタエルスキ。過去3作以上に見せ場の多いこの最新作にどのように向き合ったのか。キアヌとの協力関係や、影響を受けた作品などを聞いた。



『ジョン・ウィック:コンセクエンス』あらすじ

裏社会の掟を破り、粛清の包囲網から生還した伝説の殺し屋、ジョン・ウィック。地下に身を潜め、全てを牛耳る組織:主席連合から自由になるために立ち上がった。 組織内での権力を得た若き高官グラモンは、聖域としてジョンを守ってきたニューヨークのコンチネンタルホテルを爆破、ジョンの旧友でもあった盲目の達人ケインを強引に引き入れ、ジョン・ウィック狩りに乗り出す。そんな中、日本の友人、シマヅの協力を求めてジョンが大阪のコンチネンタルホテルに現れる・・・。果たしてジョンは、かつて忠誠を誓った世界との決着をつけて、真の自由を手にすることができるのか!?


Index


セリフを削り、サイレント映画の感覚で



Q:今回もキアヌ・リーブスが演じるジョン・ウィックのセリフがかなり限定的でした。これは脚本の段階から意図していたとおりですか?


スタエルスキ:「ジョン・ウィック」シリーズに関しては、伝統的な脚本作りのプロセスは使っていません。キアヌも含めてみんなでアイデアを出し合って、僕がおおよそのストーリーを作り、そこで脚本家に加わってもらうわけです。脚本が完成しても、セリフは基本的にシンプル。「いま怒っている」など、そのシーンでの感情が書かれ、自由に変えられるようにしてあるのです。スタジオ側に対し「キアヌのセリフがありますよ」と示すことと、共演の俳優にジョン・ウィックの感情を伝えることが目的ですね。そして本番では「俺は怒ってる!」といった感情を示すセリフがどんどん削られていくわけです。


Q:説明的なセリフをできるだけ回避しているのですね。


スタエルスキ:僕がアメリカ映画を苦手にしている点のひとつは、すべてセリフで説明しようとするところ。「お前は俺の仲間を殺したから、今から俺はお前を殺す」とか、思わず「観てればわかるよ!」とツッコミを入れたくなるセリフは大嫌い(笑)。僕にとって「ジョン・ウィック」はサイレント映画という意識なんです。最低限のセリフでいかに多くのことを表現できるかに挑戦しています。キアヌもこうしたスタイルが得意な俳優で、僕らは3ページにわたるセリフよりも、キャラクターの行動と選択で表現できることが大きいと信じています。セリフが少ない分、観客も潜んだ感情を想像するわけで、そのキャラクターに寄り添えるのではないでしょうか。



『ジョン・ウィック:コンセクエンス』®, TM & © 2023 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.


Q:セリフの少なさはキアヌの判断でもある?


スタエルスキ:キアヌはどんなセリフを話すべきか、自分なりの言葉と選択で表現しています。たまに僕は「ちょっとセリフを削りすぎ。1行くらいは残して」と頼みますが(笑)。


Q:その場合、共演者との間で“阿吽”の呼吸が築かれるわけですね。


スタエルスキ:キアヌは他の俳優へのアプローチも優れていて、そのシーンのリズムをうまく掴んで表現してくれます。今回もシェイクスピア的な芝居をするイアン・マクシェーン、ものすごいエネルギーで向かってくるドニー・イェンと、それぞれに対してキアヌはセリフで応じなくとも、どっしりと構えて目で伝えたりしていました。改めて感心しましたね。




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