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『月』石井裕也監督×オダギリジョー “人に見せる”ことをここまで徹底したことはない【Director’s Interview Vol.366】

『月』石井裕也監督×オダギリジョー “人に見せる”ことをここまで徹底したことはない【Director’s Interview Vol.366】

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問題は自分の中にある



Q:観客に解釈を委ねる映画が多い中、本作は“委ねさせられない”どころか、むしろ直接問題に対峙させられるような力すら感じました。そこまでしてでも描こうと、監督の中では最初から決められていたのでしょうか。


石井:綺麗事に聞こえるかもしれませんが、この問題を観客に力づくで突きつけてやろうという気持ちはあまり無くて、むしろ自分にどれくらい突きつけられるのか?ということを考えていました。「監督≒観客」なのかもしれないですけどね。さとくんの考えや思想が引き起こしたこの事件は、人類全体の問題だと思うんです。人間の存在そのものが問われていて、もっと言えば人間、そして社会が挑発されている。そのことに対して何らかのリアクションが出来ないとしたら、それは結構問題だぞと。現にほとんどの人はリアクション出来なかったわけですから。



『月』(C)2023『月』製作委員会


Q:この映画のパンフレットにある望月衣塑子さんのコメントに、「報道には限界がある。そんな時、ニュースよりもずっと効果的なのが映画や小説の力だ。」「映画の狙いのもう一つは、見た人に「私たちは何ができるのか」と考えさせ、行動を促すことにあるのではないか、と思う。〜この映画を見に来た人は、その時点ですでに一歩、踏み出している。」と書かれていました。個人的にはとても同意できたのですが、その辺を意識されることはありますか?


石井:「どう伝えたらいいのか…」とか「言葉にならない」というその戸惑いは正しいと思うんです。確かに言葉にならない事件だった。でも、「やっぱり言葉にならなかったね」だけで終わらせるべき問題でもない。僕らとしては、とにかく言葉にならないからこそ観て欲しい。僕がずっと心配していたのは、もしかすると第二第三のさとくんを世の中に生んでしまうかもしれないというリスクでした。でもそれよりも、この問題が自分たちが生きているところのかなり近くにあって、むしろ自分の中にこそある。まるで他人事ではなくて、むしろ自分にとってとても重要な問題だと気づいてもらう方が、価値があると思ったんです。最終的には、それでこの映画を作ることを決めました。


オダギリ:これまでいろんなタイプの映画に携わってきましたが、ここまでストレートに問題を投げかけられるものはなかった。石井さんだからこそ挑戦できたのも事実。「なんの為にこの映画を作ったの?」という作品が多い中、この映画は非常に意味のある作品だと思います。




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監督・脚本:石井裕也

1983年6月21日、埼玉県出身。大阪芸術大学の卒業制作として監督した作品『剥き出しにっぽん』(’05)が、第29回ぴあフィルムフェスティバルでグランプリを受賞。第37回日本アカデミー賞で『舟を編む』(’13)が最優秀作品賞、最優秀監督賞を受賞。他の監督作に、『ぼくたちの家族』(‘14)、『バンクーバーの朝日』(‘14)、『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』(’17)、『町田くんの世界』(’19)、『生きちゃった』(’20)、『茜色に焼かれる』(’21)、『アジアの天使』(’21)、『愛にイナズマ』(’23)などがある。





オダギリジョー

1976年2月16日生まれ。『アカルイミライ』で映画初主演。以降、『メゾン・ド・ヒミコ』(05)、『ゆれる』(06)、『悲夢』(09)、『宵闇真珠』(17)など作家性を重視した作品に出演し、国内外の映画人からの信頼も厚い。19年、『ある船頭の話』で長編映画初監督。第76回ヴェネツィア国際映画祭ヴェニス・デイズ部門に日本映画史上初めて選出され、同年『サタデー・フィクション』(日本公開は11月3日)がコンペティション部門に出品。待機作に「僕の手を売ります」(全10話)がFOD/Amazon Prime Videoにて10月27日(金)より配信開始。



取材・文:香田史生

CINEMOREの編集部員兼ライター。映画のめざめは『グーニーズ』と『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』。最近のお気に入りは、黒澤明や小津安二郎など4Kデジタルリマスターのクラシック作品。


撮影:青木一成





『月』

全国にて公開中

配給:スターサンズ

(C)2023『月』製作委員会

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