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『月』石井裕也監督×オダギリジョー “人に見せる”ことをここまで徹底したことはない【Director’s Interview Vol.366】

『月』石井裕也監督×オダギリジョー “人に見せる”ことをここまで徹底したことはない【Director’s Interview Vol.366】

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シーンに対する共通意識



Q:堂島夫婦が一緒にお墓参りをするシーンが非常に印象に残っています。洋子が妊娠したこと伝えた時の、嬉しさと戸惑いが入り混じった昌平の表情がとにかくすごくて、その場の空気がそのまま伝わってきました。我々がこれまで見てきたオダギリジョーには全く見えないような感じもありました。


石井:あの夫婦にとって妊娠は100%の喜びということではないから、そういう意味ではある方向に観客を誘導するような演出というのはなされていない。僕があのシーンでオダギリさんに求めようとしたのは、そういう色んな状況や現実的な問題を飛び越えた、本当に子供のような「無垢なる喜び」ということだったと思うんです。でも一方で、あそこでいわゆる子供のようにはしゃぐことは、自分の妻にどういう感情を抱かせるかということを無視することにもなる。そのギリギリをやってもらいたかったと記憶しています。



『月』(C)2023『月』製作委員会


Q:現場ではそういった具体的な話はされないんですよね。


石井:そうですね。あのお墓のシーンが重要だということは、話すまでもなく分かることなんです。その撮影の次の日は撮休だったのですが、それはスケジュールを立てた人がこのシーンは重要だと思ったから。そういった色んな作用があって、皆で向かい合っていくということなんです。


オダギリ:大事なシーンだという意識は高く持っていたのは事実です。それはきっと宮沢さんも同じだと思いますね。だから珍しく、あの日のことはよく覚えています。特に宮沢さんとのやりとりや、その表情が浮かんできます。蝉の声、強い日差し、あの場所から見下ろす町の景色。あの日のことは案外しっかりと残ってますね。まぁ、大切じゃないシーンなんて無いのですが、宮沢さんにしても僕にしても失敗できないシーンの一つでしたし、それは確かだと思います。




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