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『サタデー・フィクション』ロウ・イエ監督 現実やフィクションに懐疑的になるべき【Director’s Interview Vol.373】

『サタデー・フィクション』ロウ・イエ監督 現実やフィクションに懐疑的になるべき【Director’s Interview Vol.373】

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同じモノクロでも見え方を変えた



Q:ノワールの雰囲気が立ち込めていますが、モノクロ前提で企画もスタートしたのでしょうか。


ロウ:そうですね。企画の段階から、この作品はモノクロでいこうと決めていました。これまでもモノクロで撮りたいとは何度か思っていましたが、今回やっと実現できました。プロデューサーや製作陣に「モノクロはちょっと…」と言われ続けてきたんです(笑)。



『サタデー・フィクション』©YINGFILMS


Q:単に色を落としただけではなく、幻想的な空気感も出ています。レンズフィルター等も活用されていると思いますが、撮影はどのように行われましたか。


ロウ:このモノクロ映画を撮るために相当な研究と実験を行いました。編集段階でも光の具合の調整をしっかりやっています。冒頭とラストでは、同じモノクロでも見え方が違います。ストーリーに合わせてコントラストを変えているんです。また、自然光もなるべく生かすようにしました。1941年と今で全く同じものは太陽の光ですからね。




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監督:ロウ・イエ

1965年生まれ。中国の脚本家、監督、プロデューサー。1994年、『デッド・エンド/最後の恋人』で監督デビュー。2000年、『ふたりの人魚』は当局の許可なしにロッテルダム国際映画祭に出品したため中国では上映禁止となった。2003年、チャン・ツィイーを主演に1930年代の中国と日本の間の対立を描いた『パープル・バタフライ』は、カンヌ国際映画祭の公式コンペティション部門に選出。2006年、天安門事件にまつわる出来事を扱った『天安門、恋人たち』はカンヌ国際映画祭で上映された結果、再び5年間の映画制作・上映禁止処分となる。禁止処分の最中、検閲を避けるためフランスと香港合作で作られた『スプリング・フィーバー』は2009年カンヌ国際映画祭で脚本賞を受賞。その2年後、2011年タハール・ラヒム主演で『パリ、ただよう花』をフランスで撮影。2012年、カンヌ国際映画祭“ある視点部門”オープニング作品に選ばれた『二重生活』は、映画制作禁止後に、ロウ・イエが公式に復活を果たした作品。2013年、『ブラインド・マッサージ』はベルリン国際映画祭にコンペティション部門に選出され、台湾のアカデミー賞金馬奨で作品賞を含む6冠を受賞。2018年、広州・香港・台北を舞台にしたクライムサスペンス『シャドウプレイ』は金馬奨で4部門ノミネート。本作『サタデー・フィクション』はコン・リー主演、オダギリジョー共演による、1941年の太平洋戦争開戦前夜の上海租界を舞台としたスパイ映画で、第 76 回ベネチア国際映画祭コンペティション部門正式出品した。最新作は、『少年の君』のイー・ヤンチェンシー(易烊千璽)と『象は静かに座っている』のチャン・ユー(章宇)が出演する『三文字(原題:三個字)」(公開未定)と、日本及び欧米でも有名なバンド「重塑雕像的權利(Re-TROS)」のドキュメンタリー(公開未定)。



取材・文:香田史生

CINEMOREの編集部員兼ライター。映画のめざめは『グーニーズ』と『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』。最近のお気に入りは、黒澤明や小津安二郎など4Kデジタルリマスターのクラシック作品。


撮影:青木一成





『サタデー・フィクション』

11月3日(金・祝)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、シネ・リーブル池袋、アップリンク吉祥寺ほかにて全国順次公開中

配給:アップリンク

©YINGFILMS

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